mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

アルバート・アイラーの澄み切ったサックス!

 Albert Ayler"Live on The Riviera"(ESP)

 

Albert Ayler(ts, ss, vo, musette),

Steven Tintweiss(b),

Allen Blairman(drms),

Mary Maria(vo, ss)

 


recorded July 25, 1970 at The Maeght Foundation in Saint Paul de Vence

 

 

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アルバート・アイラーが亡くなってだいぶ経ってからESPから思い出したように発売された、1970年7月25日のライヴ。


「マグー財団の夜」として発売されたものと同じ会場でのライヴですけども、ピアノが抜けてます。

 

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現在入手できる、「マグー財団の夜」。サン・ラーもここでライブを行っています。

 


どうやら、ピアノのコール・コブスの現地入りが遅れてしまい、ここではピアノなしになっています。


コブスが合流した演奏は、『マグー財団の夜』として、現在は1枚のCDとなって発売されています。


コレは、その2日前の演奏です。

 


まずなんと言っても、観客の数がすごい(笑)。


しかも、拍手の仕方がクラシックのコンサートですね。


とてもフリージャズのライヴとは思えない。


アイラーは、アメリカでは完全に異端児扱いされてましたが、ヨーロッパでは大英雄だったんですね。


この落差に生涯アイラーは悩んでいたようです。


アイラーはテナー、ソプラノを駆使してトコトン自分の歌を歌いまくります。


時にどこに行くんだかわからないような不思議な魅力の歌まで歌い始めます。


ほぼ、アイラーの独壇場であり、共演者は彼の忠実な下僕ですね。


どうしても、アイラーのようなスタイルは、いかにサックスを吹きながらトランス状態にまで至るのか。が問題ですから、それをシッカリ周りが支えないと、めちゃくちゃになってしまいます。


なので、あくまでも御大をスターにして、周りはシッカリとサポートするという関係になっています。


よって、思ったほどドシャメシャな展開がないので、そういう意味では、すっぽ抜けを感じるかもしれません。


しかも、アイラーは全体的には、メロディを吹いている事が多く、コレもフリーにある固定観念を持っているとアレレという事になる。


何しろ、ヴォーカルまで参加してますからね。


しかし、以前にも書きましたが、アイラーはもともとサックスは抜群にうまい。


ところが、そこに留まらず、トランスしてほとんど音程などおかないなしのノイズに至ってしまう所が彼のユニークさなのですが、ここでは、サックスの音はとても澄み切っていて、何というか、音楽として成熟を感じます。


アイラーはその実力に見合った共演者を余り得られる事が出来ず、才能を十全に発揮できた録音を余り残していないのだとおもいますが、本作は、ピアノがいない分、アイラーの美しいサックスを堪能する事が出来るので、やはり、『マグー財団の夜』とともに持っていたいものです。


『マグー財団の夜』は、アイラー畢生の名演、「音楽は宇宙を癒す力である」を聴けます。


本作では、アイラーの代表曲といってよい、「Ghosts」の名演が聴けます。


コレでアイラーのサックスの音色が気に入ったら、『スピリチュアル・ユニティ』や『ベルズ』といった、ESPから出たハードコアな演奏を聴くとイイかもしれません。

 

  ※               ※                  ※


1970年11月25日に、アイラーは、ニューヨークのイーストリヴァーで水死体で発見されました。


他殺説もありましたが、後年の証言では自殺である説が濃厚です。

 

 

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レイ・アンダーソンが自由自在に吹きまくる変則トリオアルバム!

Ray Anderson,  Han Bennink & Christy Daran『Cheer Up』(hat ART)


Personnel;

Ray Anderson(tb, tuba),

Christy Doran(g),

Han Bennink(drms)


recorded at Schulhaus Oberengstringen, Zürich, Switzerland in March 15,16 1995

 

 

 

  スイスのチューリッヒにおける、1995年のライヴ録音ですね。


ハットアートというスイスのインディレーベルですし、編成もかなり変則的で、演奏もフリーなグシャグシャな事をやってるのかな?と思ったんですが、思ったよりもずっと聴きやすいです。

 

このレーベルから出ている、コレまた変則的なトリオである、「タイニー・ベル・トリオ」という、デイヴ・ダグラスが1990年代にやっていた演奏なんかを思い出しました。

 

 

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デイヴ・ダグラス率いる「タイニー・ベル・トリオ」の2枚目。現行版は、ジャケットが異なります。


かなりスカスカはするんですけども、それは、彼らの狙い通りでして、超絶技巧トロンボーン奏者が自由奔放にソロを取るために作ったスペースなんですよね。


それをしっかりと支えるのは、2019年現在も、相棒のミシャ・メンゲルベルグが亡くなった後もICPオーケストラを率いている、大ベテランのハン・ベニンク。

 

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2m近い大巨人、ハン・ベニンク。

 


トロンボーンというのは、スライドを使って音程を作っているという構造上の問題があって、そんなに機能的にできてないんですよ。


ですから、ソロをカッコよく決める事に主眼を置いているジャズでは、どうしても地味な存在となり、ビックバンドであってもスモール・コンボであっても、ソロを取ることよりも、低音を支えるためのアンサンブル要因として起用される事が多いです。


例外的に、バップでは、JJジョンソンという、あまりにもうますぎる事が唯一の欠点というトロンボーン奏者が軽々とパップを演奏しまくっていましたが、彼についづいするようなトロンボーン奏者は、まあ、バップでは彼の相棒であったカイ・ヴィンディンクくらいなモノです。


フリージャズで圧倒的な技法を駆使していた、アルバート・マンゲルスドルフがほぼ一人で気を吐いていましたが、彼の後に続く人はまあ、皆無といってよいです。


そんな、地味な世界に、突如として現れたのが、このレイ・アンダーソンなんです。

 

 

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本作ではチューバも吹いている、レイ・アンダーソン。

 


彼は、前述の2人ともまた全然タイプが違って、比較的オーソドックスなスタイルからフリーまでを一瞬で行ったり来たりできるタイプでして、それでいて、難解など微塵もなく、それこそ、ローランド・カークなんかに近いファンキーさが濃厚な演奏なんです。


アヴァンギャルドとポップが全く違和感なく同居しているという、ほとんど稀有な存在なんです。


本作もそんな彼の個性が十全に発揮されたアルバムでして、こんなに自由闊達にトロンボーンというモノは演奏できるモノなのか?ととになかく呆れるばかりです。


ドラムのハン・ベニンクは、デレク・ベイリーなどの即興演奏家とも共演するような人ですけども、彼のホームグラウンドとも言える、ICPオーケストラは、ユーモアとシリアスが絶妙なバランスで同居した、非常に優れたライヴビックバンドでして、その意味でレイとの相性はバツグンです。


この2人と比べるとやや個性に欠けますが、いろんな変な音を繰り出してこの2人を支える事に徹している、クリスティ・ドランのギーもなかなかよいです。


そういえば、ハットアートといえば、ジョン・ゾーンのコレまた変則的なトリオで『News for Lulu』という傑作があるんですけも、多分、このアルバムの成功があって、本作のようなアルバムが作られたのでしょうね。

 

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アルトサックス、トロンボーン、ギターという、「ジミー・ジュフリー3」を思わせる変わった編成でハード・バップを演奏するという、ユニークな作品です。

 


この3作、すべてオススメで、比較的入手しやすいと思いますので、中古店やインターネットで探してみてください。

 

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70年代ハンコックを見直す事は、そのまま現在のジャズにつながるのではないだろうか?

Herbie Hancock 『Thrust』(SONY MUSIC ENTERTAINMENT)

 


Personnel;

Bennie Maupin(ss, ts, saxello, b-cl, alto flute),

Herbie Hancock(el-p, p, clavinet, synths),

Paul Jackson(el-b),

Mike Clark(drms),

Bill Summers(drms)

 


recorded at Wally Heider Studios,  San Francisco,

in August 1974

 

 

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未だに現役で活躍する、ハービー・ハンコック

 

 

ハービー・ハンコックは未だに現役のジャズの「最後の巨人」の数少ない1人ですが、マイルス・デイヴィスのもとを離れて独立してからのしばらくは、かなりのスランプに陥っていたことは有名です。


まあ、マイルスのもとでアレだけの事を成し遂げてしまっては、次やることが迷走してしまうのも仕方がないだろう(ショーターも、かなり長い間スランプであったことを伝記で告白している)。


ハンコックのスランプは、ショーターと比べると比較的短かったが、その新しい方向性、すなわち、ヘッドハンターズの結成なわけだが、正直いうと、ジャズファンの多くは困惑したのではないか。


ご存知の通り、アルバム『ヘッドハンターズ』はジャズとしては桁外れな売り上げ(Billboard 200で最高位13位!)、コンサートも満員であった。


これに匹敵するのは、ショーターが参加していたウェザーリポートくらいであろうが、エレクトリック・サウンドをふんだんに導入し、ファンクを基調とした音楽性は、良くも悪くも真面目な日本のジャズファン(私ですね・笑)は、そこに日和見主義を感じ取っていたのではなかろうか?


かくいう私も70年代のハンコックは、正直そんなに愛聴してこなかったのだが、このアルバムとこの後に出される『洪水』を聴いて、これが大いなる偏見であることを痛感せざるを得なかった。


反省しきりである。

 

ハンコックは、ジャズ史的に言えば、短期間だが、マイルスのコンボに在籍していたこれまた大巨人のピアニスト、ビル・エヴァンスの方法論をいち早く明晰で非常にわかりやすい形で提示した、恐らくは最初期のピアニストであり、であるがゆえに、マイルスは、マイルスを起用したわけで、その成果は、マイルスの60年代のリーダー作、および、ハンコックのリーダー作やブルーノートに多数録音されたサイドメンとしての非常に多くの演奏を聴けば、納得であろう。


彼のマイルスの音楽への深い理解がなければ(マイルス自叙伝を読んでも、ハンコックへの不満が見当たらない)、60年代の第2期黄金クインテットはなかったであろうが、ピアニストとして非常に卓越した才能を持っているのと同じくらいに、ハンコックの才能は、「サウンドクリエイター」にあったといってよい。


その証拠に、ハンコックには、ピアニストにして珍しく、ピアノ・トリオやソロ・ピアノ作品がほとんどない。


サウンドクリエイターとしての才能が遺憾なく発揮された60年代の作品、「スピーク・ライク・ア・チャイルド」は、モーダルでドビュッシー、というか、ギル・エヴァンスを思わせる美しい作品で、60年代の彼の最高傑作であろう。


そんな彼が次に情惹かれていったのが、エレクトリック・サウンドであったのは、時代を読む能力に長けているハンコックにとっては当然の流れであったが、60年代末〜70年代初頭のハンコックのアルバムは、意気込みがからわまりしていて、迷走している感が非常に強く、スランプは相当深刻であったことがよくわかる。

 

エレクトリック・サウンドをファンクとうまく結びつけて、非常にポップな形で提示することで、バカ売れした、『ヘッドハンターズ』は、今の耳にも面白くあるし、ブラックミュージック好きでコレを聴いて何も感じない人はないであろうが、ジャズという観点からしてみると、今の耳では、少々飽きてくるのもまた事実。

 

しかし、本作は明らかに『ヘッドハンターズ』よりもクオリティが格段に上がっているのである。


キーボードの音色の選択のセンス、アレンジ、そして、ハンコック自身の演奏、どれを取っても、明らかに著しく進歩が見られる。


バンドのメンバーも、ハンコックの意図をシッカリと理解し(多分、ハンコックの意図はとても明確であったと思う)、アンサンブルとして最上レベル。


それにしてもハンコックのバッキングのうまさはなんだろうか。


メンバーは誰もかれも芸達者であるけども、ハンコックは役者が一枚も二枚も上手である。

 

ソロを取り出すと、バンドが俄然輝く。


ファンクは基本モノリズムだけども、ハンコックはポリリズムのファンク。


この辺りが、東京ザヴィヌスバッハにかなり影響を与えたと思われ、本作でのハンコックの演奏は、とりわけ初期の東京ザヴィヌスバッハの坪口昌恭が強い影響

を受けたと想像できる。


昨今、ロバート・グラスパーを中心としてジャズシーンが注目を集めているが、このあたりからもう一度見つめ直してみるのもいいのではないだろうか。

 

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「はてなダイアリー」から救い出せるモノをこちらに転載します!

Gil Evans 『Priestess』

 


Personnel;

Gil Evans(p, cond, arr),

Lew Soloff(tp, piccolo tp),

Hannibal Marvin Peterson(tp),

Jimmy Knepper(tb), John Clark(frh),

Howard Johnson, Robert Stewart(tuba),

David Sanborn, Arthur Blythe(as),

George Adams(ts),

Pete Levin(synth, clavinet),

Keith Loving(g),

Steve Neil(b), Susan Evans(drms)

 

Recorded at Saint George Church, NYC, May 13, 1977

 

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実はカナダ出身の、ギル・エヴァンス

 

 

ギル・エヴァンスのアルバムの中で、入手が非常に困難であった本作が、2015年になってようやく再発売された事を素直に喜びたい。


本作の素晴らしさは、まず何と言ってもメンバーの豪華さでしょう。


サックスから見てみると、デイヴィッド・サンボーン、アーサー・ブライスビリー・ハーパー、ジョージュ・アダムズ。

 

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今や大ベテランのサンボーン。

 

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2017年に惜しくも亡くなった、アーサー・ブライス

 

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ドン・プーレンとのコンビが素晴らしかった、ジョージュ・アダムズ。

 


トランペットは、ルー・ソロフにハンニバル・マーヴィン・ピーターソン。

 

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1970年代に一世を風靡した、ハンニバル


この演奏は、ギル・エヴァンスの65歳の誕生日に録音されたライヴなのですけども、これだけの豪華なメンバーが集まったのは、彼の人徳でしょう。


ギルは金もうけをする事には、最後まで無頓着でしたから、ここで演奏しても、各メンバーにとっては大したギャラはなかったてしょうけども、それでも、このマッド・サイエンティストのラボ出身者が一堂に会しているというだけで素晴らしいですね(注)。


映像や写真は残ってないんだろうか。


ギルのアレンジへのこだわりは、並外れており、本作でもその不穏で不安定なテクスチャは炸裂しているが、時にそれが冗長であったり、散漫かつ不可解な演奏になりかねないのですが、本作では、それが奇跡的なバランスで成り立っており、要するに、名演になっております。

 

目玉は、やはり、タイトル曲でのサンボーン、ルー・ソロフ、アーサー・ブライスのソロがそのいずれもが圧巻。


特にルー・ソロフが素晴らしく、生涯、最高の演奏の一つと言っていいのではないか。


ギルの立体的なアレンジは完全に決まっていて、綿密なのか適当なのか判然としないアレンジと名手によるソロが見事にシンクロした時の快感を味わうことが、ギル・エヴァンスを聴くという行為なのです。


和声に関する難しい理論はとりあえず置いておいて、このうまくいくのか否かその日その瞬間になってみなくてはわからない。という、出たとこ勝負的なアナーキーさを、生涯にわたって実践していたギルは、やはり、偉大なるジャズメンですね。

 

このアルバム、LP1枚分、およそ40分ほどの演奏が収まっているのだが、実際はもっと演奏されたに違いなく(明らかに編集の跡あり)、できうれば、完全版を聴いてみたいのだが、もしかすると、他はとんでもない凡演で、プロデューサーである、ジョン・サイモンの判断で、LP1枚になったのかもしれないですね。

 


(注)本作のライナーノートをしっぴつしている村井康司氏によると、ギルの子供たちの通っている学校「City and Country School in Village」のための寄付金を集めるためのイベントでもあったそうだ。

学校にあった楽器がすべて盗難にあったため、新しい楽器を購入する資金を集めるためだった。

なんて、いい話しだろう。。

アメリカのミュージシャンはすごい。

 

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高円寺番外地編のセットリストはコレです!

11/3の『エリントン すごいぜ! 高円寺番外地編』のセットリストはコレです!

 

①『The Popular Ellington』

1.Caravan

 

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②『Money Jungle』

2. Money Jungle

 

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③『Afro-Eurasian Ecripse』

 

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3-1. Chinoiserie 

  ※参考 DCPRG『構造と力』より「構造1」

 

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3-2. Afrique

 ※参考 James Brown『Star Time』

 

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3-3. Acht O'Clock Rock

    ※参考 Roland Kirk『Volunteered Slavery』 

 

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エンディング

 Lotus Blossom from 『...and his mother called him bill』

 

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次回は御徒町「夜学バーbrat」に戻りまして、12/1に行います!お楽しみに!

 

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生誕120周年!エリントンすごいぜ!が高円寺に出張します!

普段は、御徒町の近くにある「夜学バーbrat」で行なっているイベント、『エリントンすごいぜ!』が、高円寺にある、ユニークな収録配信スタジオ、「ヒマナイヌスタジオ高円寺」にて、急遽、番外編を行う事になりました!

 

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ヒマナイヌスタジオ高円寺の外観です!

 

これまでの内容を聴いていなくても十分楽しめます!

 

スタジオの優秀な音響機材によって、デューク・エリントンのエッセンスをお届けいたしますので、是非ご参加ください!

 

 

エリントンすごいぜ! 高円寺番外地編

 

場所: ヒマナイヌスタジオ高円寺

杉並区高円寺北 2-2-24 村田ビル1F

http://himag.blog.jp/himasta_system.html

 

時間; open 13:30 start 14:00-15:10

料金 : 1000+1drink

※ドリンクなどの飲食のお支払いは、キャッシュレスになりますので、よろしくお願いします。

入場料は現金のみとなります。

 

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今をときめくジャズメンに現人神が降臨して作られた、大作アルバム!

Blue Note All-Stars『Our Piont of View』(Blue Note)

 

personnel;
Marcus Strickland(ts),

Ambrose Akinmusire(tp),

Lionel Loueke(g,vo),

Robert Glasper(p,el-p),

Derrick Hodge(b,el-b),

Kendrick Scott(drms)


Wayne Shorter(ss),

Herbie Hancock(p),


recorded at CapitolStudios,Hollywood,CA

 

 

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本作のプロデューサーはグラスパーとこのドン・ウォズです。ウォズは現在のブルーノートの社長であり、ミュージシャンでもあります。

 

 


タイトル通りの、現在のブルーノートの腕っこきばかりを集めて作られた作品であり、CD二枚組みで90分を超える大作です。


ゲストとして、モダンジャズの現人神である、ウェイン・ショーターハービー・ハンコックがDisc2の「Masquelero」のみゲストとして参加しており、Disc1の「Henya」は、アンブローズ・アキンムシーレとデリック・ホッジのみの演奏となり、トランペットとベイスの多重録音による作品となってます。


たったの一曲ではありますが、ショーター、ハンコックという現人神が参加している事からわかるように、ブルーノートというよりも、むしろ、全体の基調になっているのは、1960年代のマイルス・クインテットです。

 

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ウェイン・ショーター猊下

 

 

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ハービー・ハンコック陛下!

 


まあ、ショーターとハンコックは、1960年代にクインテットに所属しながらも、ブルーノートでリーダー作を出していたので、60年代マイルスとブルーノートは全く無関係ではないんですけども、この2つは微妙に違いますね。


ブルーノートでのハンコックやショーターはよりカッチリと作りこんでいますが、このメンバーでライヴをしているわけではなく(マイルス・クインテットが忙しく過ぎましたし)、アルバムのみの出来事なのですが、マイルスはライヴでの大暴れとラボラトリーとしてのアルバムのような二面性をもってますね。


で、本作のDisc1は、60年代マイルスをベイスとするスタジオのみの存在、即ち、新主流派ですね。


およそ18分に及ぶ最長の演奏となる、「Witch Hunt」はモロに60年代のマイルス・クインテットです。


まあ、全員が売れっ子なので、この編成でライヴをやるのは大変な予算がかかってしまうので難しというのが実情でしょうけど。


しかしながら、単に60年代マイルスをなぞるような、懐古趣味を狙っているのではなく、ベナン出身のギタリスト、リオネル・ルエケが入っているのがやはりミソですね。

 

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現役最高峰のギタリストの1人、リオネル・ルエケ。


彼の独特のクワーン、キューンと鳴る不思議な浮遊感のあるギターサウンドが加わると、味わいが明らかに変わってきますね。


そして、デリック・ホッジ作曲の「Second Light」で彼らのホンネである、ソウルとジャズの融合が垣間見れますね。

 

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グラスパーの相棒でもあり、リーダー作もある、デリック・ホッジ。

 


しかし、彼らの本領がより発揮されているのは、Disc2でしょう。


ショーター作曲「マスカレロ」(マイルスのアルバム『ソーサラー』に収録されています)にショーター、ハンコックが降臨しますが、俄然演奏の緊迫感が違いますね。

 

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ティーヴ・コールマンのサイドメンがこんなにメジャーになるとは思いもよらなかった、アンブローズ・アキンムシーレ。バリバリに吹きまくってます!

 

 

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いざ、テナーに専念すると、彼のルーツがジョー・ヘンダーソンである事がよくわかる、マーカス・ストリックランド。

 

 

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ドシン!と重い一打を繰り出す、ケンドリク・スコット。様々なバンドに引っ張りだこです。

 


単に60年代のマイルスの再演ではなく(そもそも、ハンコックとショーターがそういう事を一切してません)、あくまでも現代のサウンドとして演奏しているのが素晴らしいですね。


コレが「伝統の継承」なのだと思います。


コレに続くデリック・ホッジとリオネル・ルエケの曲はもはやブルーノートの伝統とかマイルスを表面的にもなぞる事など全く御構いなし。


リオネル・ルエケが大活躍しております。


ロバート・グラスパー以降のジャズにはちょっとついていけないなあ。という方には、まずはこのアルバム辺りから聴いてみて、このアルバムに参加しているジャズメンのリーダー作なり、サイドメンとして参加しているアルバムなどを聴いてみるのがよいでしょうね。


その辺は昔ながらのジャズの聴き方でよいのだと思います。

 


リーダー作ではあまりソロを取らないグラスパーのソロがここではタップリと聴く事ができ、そして、やはりというべきか、素晴らしいものです。

 

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近年のリーダー作は少しチャラい気がしますが、ここでのグラスパーはガチでジャズしてます。

 


派手な事はそれほどしてませんけども、バッキングによってコンボの方向性を的確に示していくところなどやはりさすがと言わざるを得ません。

 


なお、本作は、ブルーノートの再建に尽力した、ブルース・ランドヴァルに捧げられております。

 

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いっぺんに全部聴くのはさすがにシンドイですから、今日はDisc1を聴く!という聴き方の方がよいでしょうね。