mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

日程のお知らせです。

紙のジャズpresents

エリントンすごいぜ!(akaそうだったのか!エリントン)vol.4

 

『The Popular Duke Ellington』をタテから聴く  その1

 

場所 夜学バーbrat

台東区上野 2-4-3 池之端すきやビル3F

 

最寄り駅はたくさんありますが、メトロ湯島駅、JR御徒町が便利かと思います。

 

http://ozjacky.o.oo7.jp/brat/

 

日時 2/3 14:00-16:30

開場 13:30

料金 2drink+600=1200 yen 

 

f:id:mclean_chance:20190106112130j:image

 

移籍しました。

長年使ってきたはてなブログのサービスが終了するので、こちらに移籍しました。

 

前使ってた内容が入ってますが、そのまんまにしておきます(笑)。

 

はてなダイアリーは、アーカイブとしてお読みください。

 

よろしくお願いします。

 

 

f:id:mclean_chance:20190103131932j:image

いやはや、圧巻でした! デイヴィッド・リンチの最高傑作でしょう!!

デイヴィット・リンチ、マーク・フロスト『Twin Peaks』(2017)

 

f:id:mclean_chance:20180407111947j:image

 

【第3部 ジュディ】

 

まさか、『ツインピークス』の続編が作られるなんて、思いもしませんでした。

しかも、クーパー捜査官が、「ボブ」に乗っ取られたまま、25年が経過した後を描いているのも、心底驚きました。

しかも、18話すべてリンチが監督し、脚本は、マーク・フロストと共同で執筆しています。

見ていただけるとわかりますけども、1話もダレた回がなく、リンチ演出がみなぎっております。

かつての登場人物が結構な年齢に全員なっていて(笑)、おじいちゃんがやたらと多いという、驚異的な作品ですね。

 

f:id:mclean_chance:20180407112048g:image

ネイディーンも登場します(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20180407112143j:image

美魔女、ノーマとシェリー。

 

f:id:mclean_chance:20180407115054j:image

エド

 

f:id:mclean_chance:20180407114822j:image

アンディとルーシー、その息子のウォーリー。全員天然です(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20180407120612j:image

ハリーの兄、フランクが保安官として登場します。

 

f:id:mclean_chance:20180407113804p:image

丸太おばさんは、本作が遺作となりました。

 

f:id:mclean_chance:20180407120754j:image

はい。オードリーと言えばあの踊りですね。

 

f:id:mclean_chance:20180407120911j:image

ジェームズのあのイタい歌が今回も聴けます(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20180407121337p:image

セイラ・パーマー、めちゃコワいです!

 

リンチのおじいちゃんフェチぶりはほぼ全作品に共通するものですから、本作はそれが大爆発する事となりました。

それにしても、リンチがすべて監督しているという報道をきいた時、かなりの意気込みで作っているんだろうなあ。という事は容易に想像できましたが、そんなモノが追いつかない、私たちの期待を遥かに超え、そして、あの最終回でポカーン(笑)。にしてしただきました。

まだ、今のところ、WOWWOWプレミアムでしか見る事ができないので、それほど多くの方が見ているわけではないと思いますけども、私は友人が録画したものをブルーレイに焼いてもらいまして、それでようやく見ました。

いやはや、もうコレは大変な作品でありました。

ある程度ネタバレさせて話を進めますので、これからご覧になる方でまだ内容を知りたくないという事でしたら、コレを読むのは全話見てからにした方がよいでしょうね。

本作の1番度胆を抜いた回は、やはり、第8話なのではないでしょうか。

というもの、なぜ、「ボブ」や「ブラックロッジ」というものが現れたのか?がとうとう語られるんですね。

お話が1945年のニューメキシコ州での核実験にいきなり飛びます。

なんと、ブラックロッジというのは、この核実験によって生まれました。

 

f:id:mclean_chance:20180407112317j:image

第8話は途中から1945年に話が唐突に飛び、白黒になります。そして、核爆発です。

 

f:id:mclean_chance:20180407113453j:image

ゴードン・コールのFBI本部のオフィスに核爆発の写真が飾ってあったのは、意味があったんですね。

 

そして、この核兵器を生み出した、人間の憎悪や悪意が「ボブ」という存在を生み出してしまったんですね。

 

f:id:mclean_chance:20180407112457j:image

火ィ、あるか?」 は本作屈指のコワいシーンです。。

 

f:id:mclean_chance:20180407121800j:image

ブラックロッジの入り口、コンビニエンス・ストア。

 

本作でしばしば出てくる、「Fire, Walk with Me」の一節のFireとは、なんと核爆発だったんですね。

つまり、ホワイトロッジとは、「核実験のない平和な世界」を象徴するものだったわけです。

こんなとんでもない存在をFBIのゴードン・コールやデイル・クーパーは捜索していたわけです。

ですので、常人では、こんな恐ろしいものと戦う事など出来はしません。

ですから、第2部の最後で、クーパーが「ボブ」に乗っ取られてしまうのは、ある意味当然の事ですよね。

ですので、どうやったら、戦えるのか?という事を実はリンチ流の独特なものではありますが、着実に積み重ねていくんです。

本作のテーマに、ドッペルゲンガーがあるんですけども、クーパー捜査官は、ボブに乗っ取られたまま、ずっと悪事を働き続ける「悪のクーパー」と、別世界からやってきた「善のクーパー」のお話しが次第に、ツインピークスという街再び吸い寄せられるように、結実していくんです。

 

f:id:mclean_chance:20180407112808j:image

「ボブ化」して、悪行三昧を繰り返す、「悪いクーパー」。素手で人間を撲殺するほど強いです。

 

f:id:mclean_chance:20180407113310j:image

別世界にいる、「よいクーパー」。

巨人とともにいる。

 

f:id:mclean_chance:20180407114902j:image

「よいクーパー」は、「ダグラス・ジョーンズ」と入れ替わる形で登場。

 

しかし、リンチの多層宇宙的な世界観は、1つの物語を論理的かつ機能的に組み上げていくのではなく、短い多くのエピソードをゆっくりゆっくりと積み上げていくんですね。

リンチ作品を見る上で一番やってはいけないのは、あたかも、ヒッチコックのサスペンスのような緻密な脚本と演出みたいなものを求める事ですよね。

リンチ監督自身もかなりの高齢となってきた事も加味されて(笑)、この第3部は、前作よりも長回しが多く、登場人物に中高年の人物が多いことから、意図的に緩慢なシーンが多いです。

 

f:id:mclean_chance:20180407114753j:image

 

f:id:mclean_chance:20180407114844j:image

コメディリリーフになっていくミッチャム一家。

 

f:id:mclean_chance:20180407121854j:image

「悪いクーパー」が探しているモノはコレです。

 

また、同時に、ネット配信などで見ることのできるドラマなので、テレビや映画のような規制がまだそれほどないためもあり、リンチ独特の、非常に残酷なシーンのキツさが、彼のデビュー作である、『イレイザーヘッド』並みになっていますね。

ハリウッド的な機能主義がリンチの作品にはあんまり働いていませんので(しかし、ものすごくサスペンスがうまいので勘違いされやすいんですけど)、そういうものを求めて見ても、彼の面白さには気がつきません。

彼の作品に一貫しているのは、夢です。

要するに、全部は夢の出来事なんですよ、リンチの作品は。

ですから、意味不明なキャラクターが唐突に出てきて、奇声を絶妙なタイミングであげたり、宇宙空間が出現するのも、夢だからです。

ですから、アレ?あの出来事はどうなってるの?と放り投げっぱなしがリンチ作品にはとても多いですね(しかし、アンジェロ・バダラメンティのいい音楽が最後にかかったりして、なんだかハッピーエンドみたいに終わったりするのですが・笑)。

それは、夢だから、見ている当人が気持ちよければそれでよしという事なんですよね。

つまり、『ツインピークス』全編は、誰かが見ている夢なんですよ。

それは、誰なのか?というと、第8話のラスト、すなわち、1956年に薄気味悪い虫が孵化して、女の子の身体に入り込んでしまいますよね?

あの少女が見ている夢なのではないでしょうか。

 

f:id:mclean_chance:20180407114549g:image

この少女、すなわち、ジュディが見ている悪夢。それが『ツインピークス』なのでした。

 

それがハッキリとしてくるのが、17話、18話なんですよ。

17話で、ボブは、フレディの手袋パンチに撃沈し、ローラ・パーマーもクーパー捜査官に救い出され、ものすごいハッピーエンドに向かいます。

本作は、極力、アンジェロ・バダラメンティのサントラが使われてないんですけども(その代わり、リンチ自らもおこなっている、不気味なサウンドエフェクトが多く出てきます)、とうとう、17話に、あの「ローラ・パーマーのテーマ」が初めてかかります。

 

f:id:mclean_chance:20180407121205j:image

何のシーンかは見てのお楽しみ。

 

世界中の『ツインピークス』ファンはこのシーンに大喝采だったと思いますが、本作は実はもう1話残っているんですね。

つまり、本作は、ラストが2つあるんです。

1つは、17話で、これでローラ・パーマーの悲劇もボブという邪悪な存在も消滅して、世界は平和になるんですね。

しかし、18話は、バッドエンドなんですよ!

登場人物が極端に少なく、クーパーとダイアン、そして、ローラくらいしか出てきません。

しかし、いろんところがおかしいんです。

コーヒーを「なんて美味いコーヒーなんだ!」とか叫びながら飲んでいる人が、スッと普通に飲んだり、ダイアンと泊まったはずのモーテルの風貌が朝になると全く変わってしまったりします。

しかも、クーパー捜査官の最後のセリフは、「今は何年なんだ?」
なのです。

クーパー捜査官とローラ(?)は、テキサス州オデッサからワシントン州ツインピークス(スポケーンがモデルらしいです)から車で向かうという、普通に考えたらあり得ない距離をモノの数時間と思しきドライヴで行ってしまうなどなど。

 

f:id:mclean_chance:20180407121551j:image

「私はローラ・パーマーではない」「今は何年なんだ?」

 

なんというか、あらゆる場面がもう崩壊というか、今までのお話はなんだったの?という呆然とする内容です。

つまり、ハッピーエンドになったのが、あの少女には、やっぱりつまらなくて、バッドエンドにしちゃえ。という子供ならではの残酷な無邪気さそのものを最後に示して、本作には、このように無限にいろんなラストがあるんですよ。
という事を、リンチならではのサービス精神を発揮してくれたんですね。

しかも、17話でも、突然、「夢の中なんだよね」みたいな声が作中に何の脈絡もなく挿入され、子供が見ている夢/悪夢である事がすでに仄めかされているんです。

しかし、リンチ作品は、よくよく考えてみると、本作ほど巨大な大仕掛けにはなってませんけども、映画作品も一部を除いては、ほとんど夢なのか現実なのかよくわからなストーリー展開であり、登場人物の多くが、非現実的な存在です。

でありながら、セットやロケーションは、ありきたりなアメリカの、どちらかというと、田舎を舞台としていて、ものすごく、ディテールはシッカリしています。

実際、人間の見る夢の材料はその人が全く体験した事のない風景である事はほとんどなく、大体は自分が見たものが頭の中で再構成させているんですよね。

つまり、リンチの作品の映像というのは、リンチ自身が見たアメリカを映画という「夢再生装置」を通じて見ている事になるんだと思います。

そういう意味で、デイヴィッド・リンチの作品には、表現したいコトにものすごい一貫性があり、まさに「夢/悪夢の再現」をやり続けている映像作家ということなのでしょう。

そういう意味で、本作は、彼の最高傑作に遂になったとのだ。と言えます。

とりあえず、あと、最低3回は見ようと思ってます。

 

f:id:mclean_chance:20180407121126p:image

THE END...

 

 

ハッキリ言って面白すぎる!

『EMPIRE』シーズン2

 

f:id:mclean_chance:20180302212416p:image

株主総会でのクーデタで、ルシウスがCEOを解任され、三男ハキームとなると、タイトルがコレに変貌します。

 

逮捕→無罪放免(ホントは違いますが)→CEO解任→復帰と、主人公ルシウスが本宮ひろ志のマンガ並みに大変な事になっているシーズン2ですが、前回お話しした『ダイナスティ』との対比はやっぱり当てずっぽうではなかった事が明らかになります。

 

f:id:mclean_chance:20180302212639j:image

FBIはずっとルシウス逮捕を狙っています。

 

元奥さんのクッキーが、三男のハキームとともに「ダイナスティ」というレーベルを立ち上げているではありませんか(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20180302212938p:image

ハキームが発掘した逸材、ローラ。

 

ちなみに、私は本作のあらすじを事前に一切知らずにコレを書いてますが、あまりにまんまなので見てて大笑いしてしまいました。

結局、「ダイナスティ」はエンパイア所属のレーベルに落ち着き、クッキーとハキームも事実上エンパイアに戻ってきます。

 

f:id:mclean_chance:20180302213104j:image

父親が拘置所に拘束されている間は、次男のジャマルが社長でした。

 

f:id:mclean_chance:20180302213220p:image

シーズン2の重要キャラクター、フリーダ。ラッパーとしての才能が本編屈指です!

 

それにしても、ルシウスが音楽業界の皮を被ったギャング。という本性が、ここまであけすけに描かれ、それとともにルシウスの生い立ちにまで食い込んでいくという展開(ルシウス・ライオンは本名ではなく、その事はクッキーすら知りませんでした)は、ハッキリ言って面白すぎるでしょう。

シーズン2も、やはり、クッキー役のタラジ・P・ヘンソンのガラの悪い、しかし憎めないキャラクターがまことに見事であり、彼女の存在なくして、本作はありえないでしょう。

 

 f:id:mclean_chance:20180302214138j:image

ルシウス釈放のイベントで檻に入って登場するクッキー。いいですねえ。

 

とにかく、ストーリーの二転三転ぶりが並大抵ではないので、是非見ていただきたい。

コレだけ、マンガ寸前まで誇張されているのに見てられるのは、登場人物の造形がシッカリしているからで、このへんは脚本陣の優秀さを感じてしまいます。

ハリウッド映画から優秀な脚本家がテレビドラマに流れているのかもしれません。

テレビドラマはシーズンの終わりは、一応、一区切りとして終わるのが普通ですけども、本作の最終回は、そんな事は御構い無しにぶった切るように終わり、続きはシーズン3を見ざるを得ないという、容姿ない終わり方をしております。

最終回がそもそもビックリ仰天な展開ですが、その最後の最後まで楽しませてくれる、まことにズルい作品でございました。

早速、シーズン3を見る事とします(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20180302213656p:image

 何のシーンかは言えません。

予想以上に真面目なオマージュでしたね。

f:id:mclean_chance:20180301183753j:image
複数のグループがアニメを制作してるのが特徴です。

 

大川ぶくぶ原作の4コマ漫画がアニメ化され、東京だと東京MXテレビで放映されているのをご存知でしょうか。

実はアマゾンプライムでもテレビ放映が終わると無料で見られるんですよ。

という事で、秋葉原で暴動寸前なったという騒動もすでに起こったとか言われているアニメを見て見る事にしたんですが、それは次回語る事とします(笑)。

今回は最新話の第8回の『仁義なき戦い』のかなり良くできたパロディについてのみ述べたいと思います。


f:id:mclean_chance:20180301183856j:image


日本映画史の伝説的な金字塔と言ってよい、『仁義なき戦い』は、コレまでも膨大なパロディやオマージュ、リスペクト作品を生み出し、ここからインスパイアされた様々なアクション映画などは、とう枚挙に暇がありませんので、今回は一切カットしますけども、本作は様々なパロディを行なっているので、『仁義なき戦い』にも手を出すのは、ある意味王道ですね。

実際見てみますと、そのパロディのクオリティは、相当なものでした。

このテのモノを詳らかに見てきたわけではありませんけども、本作はかなり上位の内容だと思います。

主な内容は第1部、第2部を基としてます。

ポプ子が演じているのは、主に北大路欣也が演じる凶暴なキャラクターであり、ピピ美は菅原文太と梅宮辰夫です。

 

f:id:mclean_chance:20180301183922j:image
この辺は菅原文太のキャラですね。

 

そして、2人に松方弘樹のキャラが入っています。

網走刑務所でレモンで兄弟盃を交わしたポプとピピ(コレは第1作の菅原文太と梅宮辰夫のシーンのパロディですね)。


f:id:mclean_chance:20180301184046j:image

f:id:mclean_chance:20180301184100j:image

f:id:mclean_chance:20180301184145j:image

レモンが兄弟盃です。コレでポプはヤクザとなりました。

 

f:id:mclean_chance:20180301184325j:image

実際は血をすすり合うというものすごいシーンですが(笑)。

 

ピピとポプは出所後は広島で大暴れするのですが、やがて組長と決裂して、組を出て、独自の組織を築いていきます。

 

f:id:mclean_chance:20180301184437j:image
この辺はジョン・ウー入ってます。

 

f:id:mclean_chance:20180301184517j:image
若頭ピピは組長に絶縁状を叩きつける!

 

f:id:mclean_chance:20180301184636j:image

役割としては、松方弘樹菅原文太なのですけども、風貌は第2部の千葉真一的です。

 

この辺りは、若頭の松方弘樹が山守組から独立する場面でしょう。

また、全体的なポプの凶暴な性格は、第2部の主人公である、北大路欣也であります。

 

f:id:mclean_chance:20180301184737j:image
仁義なき戦い』によく出てくる殺害シーンですね。

 

ポプは賭場で暗殺されますが、その葬儀の場面は、今でも語り草となっている、殺された松方弘樹の葬儀に、コレまた山守組から離脱した菅原文太がブラリとやってくるシーンのパロディです。

 

f:id:mclean_chance:20180301184818j:image
f:id:mclean_chance:20180301184842j:image
これのパロディです。 それにしても松方の風貌がすごいですねえ(笑)。

 

と、ほとんど全編(と言ってもホンの数分ですが)をネタバラシしましたが、コレを知っていても、実際見てみると、ホントに真面目に作られている事がわかります。

 

f:id:mclean_chance:20180301184943j:image
こちらでは生き返っちゃいますが(笑)。

 

セリフも『仁義なき戦い』のそれをかなり効果的に引用していて、笑っちゃうよりもむしろ感心してしまいました。

が、むしろそこがつまらなくも思いました。

私たちが見ているのは、破壊的なパンク作品である『ポプテピピック』なのであって、こんなによくできたオマージュ作品ではないのではないのでしょうか。

 

f:id:mclean_chance:20180301185028j:image

f:id:mclean_chance:20180301185107j:image
よく出来過ぎていて、むしろ面白くないのでは?

 

 

 

コレぞ、現代の『ダイナスティ』!

『EMPIRE』シーズン1

 

f:id:mclean_chance:20180211193236j:image

ティンバランドが音楽を担当しているのもすごいです。

 

2015年から始まった、『24』ブライアン・グレイザー)、『Lの世界』(イレーネ・チェイケン)のスタッフが組んで作られた、ショウビズ業界のドロドロ劇を描いた、新時代の『ダイナスティ』。

奇しくも『帝国』と『王朝』という題名の相似は決して偶然ではないし、恐らく狙っていると思います。

石油業界と音楽業界の違いこそあれ、たたき上げの一代で作り上げた「王朝」と「帝国」とその継承がテーマである事、次から次へと出てくる、身内のゴシップ、父と子、あるいは母と子の確執と、そして、元嫁の大活躍(笑)と、基本構造は本当によく似ています。

しかし、時代の違いもキチンとあります。

それが同性愛の問題です。

ダイナスティ』の主人公の息子もゲイなのですが、実はこの問題は、ストーリーのメインにはあんまりなっていません。

しかし、『EMPIRE』は第1話から、主人公のルシウス・ライオンの次男、ジャマルは、お父さんが家賃を払ってくれている超豪華なマンションの部屋に、男の子と一緒に暮らしていて、もうイチャイチャしているんですね。

 

f:id:mclean_chance:20180211193441j:image

 一代で帝国を気づきあげたルシウス。

 

f:id:mclean_chance:20180211193344j:image

恋人のマイケルとイチャイチャするジャマール。

 

典型的なアフリカ系男性のマッチョ思考であるルシウスは、そんなジャマールとうまくいってないのですが(そこはダイナスティも一緒です)、ココに更に一捻りあるんですね。

ルシウスの息子で音楽の才能があるのは、ジャマールとハキームなのですけども、ルシウスのR&Bのシンガーソングライターとしての才能は、ジャマールに濃厚であり、それは恐らくは父親を凌ぐポテンシャルがあるんですね。

実は、ゲイである事により、その問題がルシウスの中で合理化されている事が、この父と子のオイディプス・コンプレックスの問題をややこしくしているのが、とても面白いです。

敢えてキツい言葉を使いますが、「黒人でゲイ」というのは、アメリカ社会で生きていく上で確実に厳しい差別を二重に(それは黒人からも差別されるという事により)辛い事になるのですが、ご存知の通り、アフリカ系でありながら、ゲイである事をカミングアウトして大ヒットを飛ばしたフランク・オーシャンの存在が、このジャマールというキャラクター造形に相当な影響があったものと思います。

これに対して、三男のハキームは末っ子らしく超マザコンの甘えん坊でやんちゃなのですが、その野生的なカンに基づいて行動するところが、母親のクッキーに似ています。この2人も対立しますけども、実は誰よりもママが大好きで、それは、年上美魔女のナオミ・キャンベルを恋人にして、「ママ」と呼んでいる辺りからわかります。

 

f:id:mclean_chance:20180211193543j:image

ラッパーのハキーム。

 

f:id:mclean_chance:20180211194033j:image

長男のアンドレは家族で唯一の大卒ですが、双極性障害に苦しんでます。。

 

あと、全体に言えますが、ブラックミュージック業界のドロドロの内実(しかし、絵はとてもキレイです)を描いているので、とにかく、エロエロシーンとが多い(笑)。

で、ドンパチはほどよく。

 

f:id:mclean_chance:20180211193803j:image

対立するレーベルとの争いでギャングに襲撃されたりします。

 

主人公のルシウスは、ゲットー出身で元々ハスラー(各人意味は調べてください)でしたので、実はその頃に4人は少なくとも殺害しているような人です。

この主人公を演じるテレンス・ハワードは、『ハッスル&フロウ』で、コレまたゲットでのハスラー生活から抜け出すために、ラップミュージックの曲を作る。という、ど根性ブラックムーヴィの主人公Dジェイを演じていまして、『EMPIRE』はその事を知っている人には、まるで、Dジェイがとうとう音楽で大成功して巨万の富を築いた後の話のようにも見えるんです。

コレは明らかに、この事を踏まえて制作されていると思います。

また、本作を面白くしているのは、貧乏時代のルシウスと結婚し、自身も音楽プロデューサーとしても、夫のルシウスを助け、なんと、ディーラーとしての仕事まで手伝い、その時に稼いだお金で、「エンパイアレコード」を創設したという、コレまたど根性の人、クッキー・ライオンで、この稼業の事で逮捕され、ルシウスの名前を自供しなかったため、17年間も服役していたという女性なのですが(ハッキリ出てきませんが、その間に離婚が成立しています)、お話が、その出獄から始まるというくらい、本作の最重要キャラであり、時折、ルシウスを圧倒するほどの存在感です。

 

f:id:mclean_chance:20180211193702j:image

元嫁のクッキー。

 

ダイナスティ』も主人公のキャリントンの元嫁が、強烈なキャラでキャリントン一家にグイグイ絡んでくるナイスなキャラですが、クッキーも、コミカルさと凄みが同居する、タラジ・P・ヘンソンの演技が見事です。

彼女は、昨年公開された『ドリーム』という謎の邦題がついた、マーキュリー計画で離陸と着陸の軌道計算をしていたという、アフリカ系女性のNASA職員を演じており、コレまた、黒人差別と女性差別というダブルの差別と果敢に戦う役を熱演している、大変な実力派です。

アメリカのテレビドラマの王道ですけども、まず、1クールの途中まで作って視聴率を見て、続けるかどうか見て、以後、続行するかどうかを決めるんですが、本作は大人気を博しまして、最後の2話くらいにどんでん返しがバンバンかかっていって、次のシーズン見たいよ状態に私自身も陥っているわけですけども、この第1シーズンでの白眉は、ジョン・シングルトンが監督した回ですね。

ブラックムーヴィーの代表的な監督ですけども、その腕は全く落ちてませんね。ズバ抜けて出来が良かったです。

この他にもメルヴィン・ヴァン・ピープルズが監督している回もありますので、お楽しみに。

何人かの大スターがカメオ出演だったり、ミュージシャン役で出演しますので、コレもお楽しみに。

 

f:id:mclean_chance:20180211193927p:image

株式会社上場にまでこぎつけるのですが。

 

 

※追伸

 

テレンス・ハワードタラジ・P・ヘンソンは『ハッスル&フロウ』で共演してました(笑)。

シングルの重要な歌のパートを歌った売春婦でした!

 

 f:id:mclean_chance:20180217203011j:image

印象があまりにも違うので、気がつかなかった!ある意味、この映画の後日談が『EMPIRE』と言えますよね。

 

 

 

 

 

最終回のリンチ演出は必見!

デイヴィッド・リンチ+マーク・フロスト『ツインピークス

第2部「ブラック・ロッジ」

 

f:id:mclean_chance:20170729101837j:image

いきなり停職処分となるクーパー。

 

リンチファンでしたら、この第29話までの第2部の方が本来の彼の持ち味である事がわかるのですが、一般的なテレビ視聴者には、散漫なお話に見えてしまったのでしょう、話数の中途半端さを見てお分かりの通り、打ち切りで終わってしまいました。

伝え聞くところによると、The Returneは、あの打ち切った所から話しがチャンとつながって、25年後のツインピークスを描いているらしいですね。

もう、楽しみで仕方がないです(笑)。

第2部の大半で、クーパーは冤罪で、FBI特別捜査官を停職となっていて、ツインピークスの保安官助手となっており、あの黒いスーツ姿ではなくなります。

原因は、あの「片目のジャック」でのオードリー救出なのですが、詳しくは本編をご覧ください。

 

f:id:mclean_chance:20170729101946g:image

保安官助手としてクーパーは活動します。

 

f:id:mclean_chance:20170729102320j:image

前半に活躍するのは、何と言ってもデニースです。なんと、デイヴィッド・ドゥカプニーですよ。

 

いろんなエピソードが次から次へと出現してくるので、やや散漫な印象が残りますけども(リンチとフロストがあまり監督していないのも大きいでしょう)、やはり、第2部最大のテーマは、「ブラックロッジ」です。

第1部ではそれほど重要ではなかった、ボビーのお父さんで空軍少佐のガーランド・ブリッグズが俄然重要人物になってきて、お話がかなり『Xファイル』に近づいていきます。

 

f:id:mclean_chance:20170729102123j:image

クーパーと釣りに行っていたら、突然失踪してしまった少佐。

 

本編ではあまり明らかにしていませんが(軍事上の機密なので)、ブリッグズ少佐が永年関わっている任務が実は地球外生物任務がついての調査でして(笑)、コレと、ツインピークスという町がとても関係があるんですね。

なので、ド田舎町に1人だけ軍服を着ているという、異様な出で立ちの理由が第1部でもチラッとは出てくるんですけども(リンチだから、ある種のコスプレキャラなのかな?と初めは思いましたが)、それがようやく明らかになるんです。

 

f:id:mclean_chance:20170729104427j:image

コレがなんなのかは見てのお楽しみ。

 

しかも、コレとクーパー捜査官の元上司であった、狂人のウィンダム・アールが関わっていた事も明らかになりました。

こうやって書いていくと、さも、スリリングな展開があるように見えますけども、実際に見てみると途中にムダなエピソードがゴマンと挿入されてくるので、相変わらず展開はものすごくゆっくり進みます。

 

f:id:mclean_chance:20170729102533j:image

なぜか南北戦争にトリップしてしまう、ベン(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20170729102743j:image

 30年近くツインピークスの町長のドゥウェイン(笑)。またしてもおじいちゃんフェチが爆発。

 

ココがハリウッド映画の文法に慣れきったアメリカ国民をイライラさせたのでしょう(笑)。

第1部と比べて、いろんなエピソードの出来が正直今一つでした。

その中でも1番盛り上がるはずであった、ジョシー・パッカードとトーマス・エカートとの確執が1番よくなかったと思います。

コレは、多分にリンチとフロストに原因がある気がしますが。

あと、ウィンダム・アールですよね。

 

 f:id:mclean_chance:20170729103311j:image

 どう見てもクーパーの方がマッドネスが上でした。

 

第1部のローラ・パーマーを殺したのは、悪霊の「ボブ」であり彼は最後に逃げてしまいますけども、第2部の最大の敵は、どんなにすごい能力があるとは言え、人間なんですよね。

悪霊と人間では、どう頑張っても悪霊のほうがお話し的には強いに決まってます。

アールがクーパーたちにいろいろと仕掛けてきますけども、人間には理解不能な存在である「ボブ」と比べて、いろいろと変装したり、リオ・ジョンソンを奴隷にしたりするアールはなんだか、せせこましく見えてしまいます。

この合間に「怪力高校生ネイディーン」のエピソードなどが挟まってしまうので(笑)、余計に散漫な印象となってしまって、ただの小狡い悪党みたいに見えるのが、残念でなりません。

 

f:id:mclean_chance:20170729103052j:image

怪力高校生ネイディーン。一応解決します(笑)。

 

せめて、デニス・ホパーが『ブルーベルベット』で演じた病的なフランク・ブース並みにクレイジーだともうちょっとよかったかもしれません。

とはいえ、後半のブラックロッジの謎に入ると、俄然面白さが高まってきます。

 

f:id:mclean_chance:20170729103642j:image

ブラックロッジの入り口。ブリッグズ少佐が失踪した場所と同じなのだ!

 

そことミス・ツインピークスのコンテストと絡めようという発想には、ある意味脱帽です(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20170729103421j:image

コレは絶対にやりたかったんでしょうね(笑)。

 

こんなチープネスと核心部分が絡んでくるというのは、さすがという他ありません。

最終回のリンチ演出は、やはり脱帽せざるを得ません。

結局、ブラックロッジについての謎はあまり解明されないまま打ち切り。という形で本作は途中で放棄されたままになっていたわけですが、それがなぜか2017年になって突如として復活しました(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20170729103753p:image

ココが悪の根源。というのがスゴイ(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20170729103857p:image

当時、完全に忘れられた歌手であったジミー・スコットが、突然このブラックロッジのシーンで熱唱! 

 

全編をリンチがみずから監督するという力の入れようからして、彼の総決算的な作品となることは間違いないでしょう。

楽しみです。

 

f:id:mclean_chance:20170729104048j:image

 25年後にお会いしましょう