mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

現在のジャズシーンの先駆をなす傑作!

The RH Factor『Hard Groove』(verve)

 


Personnel;

Roy Hargrove(tp,flh,vo,p,perc,arr),

Keith Anderson(as),

Jacques Schwarz Bart(ts,as,fl,g),

Bernard Wright(keys),

Bobby Sprks(clavinet,Rhodes,Arp),

Spanky(g),

Reggie Washington(b),

Jason Thomas(drms),

Daniel Moreno(perc)

 


Common(vo),Q-Tip(vo),

Erykah Badu(vo),

Anthony Hamilton(vo),

D’Angelo(vo,Wurlitzer),

Anthony Hamilton(vo),

Stephanie McKay(vo),

Shelby Johnson(vo),

Renee Neufville(vo),

Steve Coleman(as),

Keith Loftis(ts),

Karl Denson(fl),

Tony Suggs(org),

James Poyser(el-p,keys,vo),

Tony Suggs(org),

Marc Cary(Wurlitzer),

Cornell Dupree(g),

Pino Palladino(b),

Meshell Ndegeocello(b),

Willie Jones lll(drms),

Gene Lake(drms),

Dontae Winslow(vo,MPC drum machine,finger snaps),

Maurice Brown(vo),Butter(vo,virtual drums,MPC drum machine),

Kwaku Obeng(perc)

 

 

 

Recorded at Electric Lady Studios,New York City in January-February,2002

 


Additional recording March and September,2002

 

 

f:id:mclean_chance:20190917205344j:image

ジャズファンに彼の活動はよく理解されていなかったのではないかと思います。

 

 

正直に申し上げると、ロイ・ハーグローブには余りよい印象は持ってませんでした。


恐らく、ヴァーヴから出ていたアルバムだったと思いますが、聴いてみて、何か線が細くて、弱々しい印象が強かったです。


後から思えば、彼の吹き方は、明らかに意図的に狙ったものである事がわかるのですけども、トランペットに気合と根性をつい求めてしまうジャズ体質が、ハーグローブへの理解を妨げてしまった感は否めません(とはいえ、ジャズという音楽は気合いと根性の音楽であるのは、ある程度今でも言えますけどね)。


本作は、ハーグローブがホントにやりたかった事をようやく吐き出した作品ですね。


パーソネルの莫大さには驚きますが、そのメンツを見ますと、とりわけゲスト陣にジャズメンはほとんどいないですよね。


コーネル・デュプリーのような大ベテランの参加も驚きますけども(スティーヴ・コールマンまでいますよ!)、ラッパーのQ-Tipやコモン、エリカ・バドゥディアンジェロウ、ピノ・パラディノ、ミシェル・ンデゲオチェロ、ジェームズ・ポイザーなどの参加がやはり目を引きます。


コレは、いわゆるネオソウルと呼ばれる人々の一群であり、簡単に言ってしまうと、1990年代にヒップホップとR&Bを結びつける事に成功させた人々なんです。


実は、ロイ・ハーグローブは、このネオソウルのムーヴメントに深く関わっており、「ソウル・クエリアンズ」という集団の一員でした。


ハーグローブの仕事として一番際立っているのは、ディアンジェロウのアルバム『Voodoo』での演奏&ホーンアレンジですが、そこでのアレンジを彷彿とさせる、恐らくは一人で多重録したと思われるホーンアレンジが本作でも聴けます。


ピノ・パラディノもディアンジェロウのもとでの活躍が素晴らしいですしね。


とにかく、本作のベースとなっているのは、いわゆるジャズではなくて、ネオソウルなんですよね。


ものすごく端的に言うと、ハーグローブは、ジャズとネオソウルを融合する事で、ジャズ、ヒップホップ、R&Bを結びつけたかったわけです。


ハーグローブは1990年代に、あらゆるジャズジャイアントと共演をするほどの名手でしたが、私は彼のやりたかった事はやっぱりそこにはなかったのではないのか。と、本作を改めて聴いて痛感します。


ハーグローブは1969年生まれですから、物心ついた時にモダンジャズが周りに流れていた。という事は考えにくいですよね。


ファンクやソウル、そして新興勢力であるヒップホップが生活の中で普通にかかっていていたのであって、ハードバップは意識的に選びとらないとなかなか入ってこないでしょう。


ハーグローブは、ジャズというものが、特定の演奏形式を指すものではない事にある段階で気がついていたと思います。

 

過去の演奏をなぞったり、特定の演奏形式を守る事に意味を見出してはいなかったのではないでしょうか。

 

しかし、彼の中にある、ブラックミュージックとジャズの融合がそんなに簡単な事ではないのも、よくわかっていたんだと思います。


そこに、ヒップホップの、とりわけ、コンシャス系と呼ばれる人々とソウルの融合が、「ネオソウル」という形で成し遂げられた動きに彼が引き寄せられていったのは、ある意味必然だったのでしょう。


ジャズっぽいリズムなど一切放棄し、新たなスムースさ、アーバンさ、そしてブラックネスを獲得したサウンドは、今聴いてもホントに素晴らしく、ハーグローブのトランペットが曲想に見事にハマり、彼の中にはこういうサウンドが鳴っていて、そのためのソフトな奏法であった事がとてもわかります。


しかし、発売当時、本作の素晴らしさを正確にとらえていたジャズファンは余り多くなかったのではないでしょうか。


私も先に述べた理由から、当時は聴いてもいませんでした。


しかし、ディアンジェロウ『Voodoo』をたまたま聴くと、非常に印象的なホーンアレンジが入っていて、それがハーグローブである事を後に知り、彼に対する考え方が変わり、そうこうするうちに、ロバート・グラスパーグラミー賞を取った、『Black Radio』以降のジャズシーンの変化を見るにつれて、このアルバムの重要性にようやく気がついてきました。


そこで改めて聴いてみると、コレは、音楽集団「ソウル・クエリアンズ」による、ジャズ方面の作品である事がわかり、この集団の全盛期を記録したものである事がようやくわかってきたんですね。


しかし、この事に気がついた時には、残念なことに、2018年にハーグローブが亡くなってしまったんですね。。


コレから、RH Factorの活動の再評価が進んで、ハーグローブの評価も高まっていくであろう時であったと思うのですけども、ホントに残念でなりません。


2000年代のジャズが非常に混迷していた時期に、現在のジャズに直結する傑作が生み出されていた事をまだ聴いた事ない方は、是非とも聴いてみて下さい。

 

f:id:mclean_chance:20190917205549j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョン・ポール・ジョーンズ@新宿ピットイン観戦記!

ロック史に巨大な痕跡を残した、レッド・ツェッペリンのベイシスト、ジョン・ポール・ジョウンズが来日し、新宿ピットインでライヴを目撃してきました!

 

f:id:mclean_chance:20190906210640j:image

ジャズのライヴハウスとして、老舗の新宿ピットイン!

 


前売りの但し書きに、「当日はベイスを弾いたり、Zeppの曲はやりません。すべて即興演奏です」と書いてあったにもかかわらず、観客の多くは明らかにZeppファンでしたね。

 


ピットインは基本はジャズのライヴハウスなので、いつもとは明らかに客層が違いました。

 


昔、プロレスのファンで、ブルーザー・ブロディの入場曲の話をしている人(Zeppの名曲「Immigrant Song」が使われていました)、「Plant  Page Jones Bonham」と書いたTシャツを着ている人。

 


あるいは、ロバート・プラントそっくりな髪型をして、腕にロックな刺青を入れている人。

 


まあ、ジャズファンにこんな人たちはいませんよ(笑)。

 


ピットインのお客さんは、ほとんど男性ですけども、このライヴは男性の割合はいつもの通りなのですけども、なんというか、熱量の質が違いますね。

 


あついですよ、Zeppファン!

 

f:id:mclean_chance:20190906210856j:image

 

f:id:mclean_chance:20190906210918j:image

あつい!! 


私みたいに、即興が聴きたくて来た人は、一割もいなかったでしょうか。

 


Zeppも即興も聴くという人は、相当な少数派でしょうか。

 


ゲストは、恐ろしくん豪華で、大友良英ジム・オルーク芳垣安洋です。

 

f:id:mclean_chance:20190906211005j:image

 


今はなき六本木スーパーデラックスみたいですけども、そこにやってくる、恐らくは大友ファンと思しき外国人とは明らかに違うタイプの人がいましたね。

 


面白くて止まらないので、前置きが長くなってしまいましたが、演奏に話を移しましょう。

 


演奏は前後半に分かれます。

 


前半は、JPジョウンズとチェリストのアンシ・カルトゥネンとのデュオです。

 


結論から申し上げると、面白くなかった。

 


エレクトロニクスの使い方があんまり上手ではないし、チェリストの演奏がとりわけ面白味に欠けました。

 


2人の演奏がお互いをあんまり触発できていないように私には聞こえましたね。

 


マンドリンの演奏をループさせたりするのも、ビル・フリゼールのものすごいものを私はライヴで聴いてしまっているので、JPの演奏それほど良いとは思えませんでした。

 


途中で帰った外国人の女性の方がいましたね。

 


即興のファンでもなさそうでしたし、もしかすると、トム・ヨークがやっているようなものがエレクトロニカで聴けると誤解していたのかもしれないですね。

 


観客のアトモスフィアは正直で、だんだんと緩慢では淀んできているのがわかります。

 


そして、10分ほどの休憩の後に、大友、オルーク、芳垣が参加する後半が始まるのですが、コレが、ガラッと変わります。

 


こんなにまで違うのか。というくらいに別次元ですね。

 


即興音楽の世界で欧米から高く評価されている大友良英のギターの演奏は、全体にものすごいダイナミズムを与えていましたね。

 


とにかく、音の存在感がとてつもない。

 


もしかして、あの場で弾いていたギブソンのギターは、高柳昌行の遺品なのでしょうか。

 


それはともかくとして、太っとくて、ホントにいい音でしたねえ。

 


コレに、芳垣、オルークが見事に応え、演奏がムクムクと動くんですね。

 


大友は、なんと、チョコっと弓弾きまでしております(笑)!

 


今回のライヴで一番Zeppしていたのは、彼でした(笑)。

 


また、ギターリフをひたすら弾きまくる局面があり、コレに芳垣のドラムがドンドンとついていき、更に演奏全体を煽りまくる展開があったのは、ロックファンもついてこれるようにするための配慮でしょうか。

 


いわゆるロックな展開には全くなっていきませんでしたけども。

 


ラップトップのオルークも変な音を繰り出し続けていて面白かったですね。

 


こうなると、御大JPも黙ってはいません。

 


前半とは見違えるほど演奏が積極的でした。

 


アンコールの10分弱の演奏がコレまたよかった!

 

 

 

私はJPの熱狂的なファンではないので、むしろ、観客がどういう反応をするのかに興味があったので、敢えて、一番後ろから聴いてましたけども、後半の客の反応が圧倒的に良かったですし、「すげえよかった」と言いながら帰っているお客さんを私は目撃しました。

 


まあ、正直ですよね。

 


即興音楽というのは、そこそこよい。という演奏はあり得なくて、いいか悪いかしかないんですね。

 


良し悪しが余りにもダイレクトに出てしまう、とても厳しい音楽だと思います。

 


前半聴いた時は、コレはどうなるんだろうと思いましたが、それを完全にわすれさせてしまうほど、後半が素晴らしかったですね。

 


結局、日本勢(オルーク含む)がとにかく素晴らしいかった。という身も蓋もない結論になってしまうんですけども、そういう事を改めて勉強できたライヴでした。

 


出待ちの人たちが、ZeppやJPのソロ作品のレコードを持って終電がなくなる事を覚悟して待っていた姿も、印象に残りました(私は途中で帰りました)。

 


なかなか得難い体験でした。面白かったです。

 

f:id:mclean_chance:20190906211119j:image

JPジョーンズの写真はございません!スイマセン!!

 

 

 

 

 

高柳昌行が改めてフリージャズと向き合ったトリオによる演奏!

高柳昌行アングリーウェイブズ『850113』(aketa’s disk→OCTAVE LAB.)

 

 

personnel; 高柳昌行(g),

井野信義(b), 山崎弘(drms)

 

recorded at Seibu City 8 Hall, Hamamatsu, Shizuoka in January 13,1985

 

 

f:id:mclean_chance:20190902212558j:image

在りし日の高柳昌行

 


日本のジャズ史の中でもとりわけ異彩を放つ存在であった高柳昌行が、ノイズソロ演奏と並行して行っていた演奏のライヴ録音。

 


1985年の浜松市でのライヴですけども、聴いてすぐわかるのは、アルバート・アイラーの影響ですよね。

 


と言っても、高柳のギターは、アイラーみたいな熱狂は微塵もなく、むしろ、冷え冷えとしているところが、単なるアイラーのモノマネしているわけではないというのがよくわかります。

 


アイラーの演奏を現在聴いてみると、結構、音がスカスカで、全員アコースティックでの演奏ですから、音量もそれほどでもないんです。

 


演奏内容は激越ですけど。

 


で、この「アングリーウェイブズ」と名付けられたトリオも、ギターことエレキですけども、あのスカスカしたところがよく似てます。

 


というか、このトリオがやりたかったのは、多分、そこであったのだろうと思います。

 


一聴、すごいんですけども、音圧で圧倒するんではなくて、絶妙な隙間があります。

 


意外なほど、普通にトリオ全員のソロ回しで演奏が成り立っているので、高柳のアルバムの中でも実はオーソドックスなジャズだったりします。

 


そういう意味では、キース・ジャレットが1980年代に改めてジャズのスタンダード曲に取り組むように、「フリーの古典」である、アイラーに改めて取り組む事で、ジャズというものを考えていたのでしょうか。

 


アルバムの曲目には、「850114 1,2,3,4」としか書かれていませんが、アイラーの曲を演奏しています。

 


どんなに、ノイズに演奏が向かおうと、彼の根底には常にジャズがあったという事でなのでしょう。

 


しかも、それは単なるアメリカのモダンジャズの模倣では飽き足らず、自らの方法論を常に模索していた孤高の存在でありました。

 


その孤高さは、なかなかとっつきにくく、遺された文章もかなりのコワモテであるためか、怖い人のイメージが先行してしまいますけども、実際に習っていた方から話しを聞くと、気さくな方で、大変な博学を駆使した脱線話しが楽しかったのだそうです。

 


高柳がなくなってもう結構な年月が経ってしまいましたが、音楽の強度は今もって揺らぐ事なく屹立しております。

 


決して馴染みやすい音楽ではありませんけども、いきなりノイズソロから入るのはちょっとなあ。という方には案外、この辺から入ってみるのもいいかもしれませんね。

 


若い頃に高柳の門下生で、やがて、関係が悪化してしまって破門宣告されてしまった大友良英さんが、1990年代の終わり頃から、「ニュージャズ・クインテット」というグループを結成して、ギターを弾くようになりましたが、彼がジャズのクインテットを結成するにあたっての根底には、このアングリーウェイブズのトリオがあったものと推測されます。

 


そう言った観点からも本作の重要性はいや増してくるように思います。

 


クインテット(ONJQ)はやがてオーケストラ(ONJO)に発展し、活動を休止しますがリズムセクションのみのトリオ(ONJT)での活動を一時期行なっていましたが、そのレパートリーには、オーネット・コールマンアルバート・アイラーでした。

 

f:id:mclean_chance:20190902212548j:image

 

 

60枚から改めて30枚を選んでみました。

1969-2018 ジャズアルバム  ベスト30 その3(完成版)

 

思いつくままに挙げた計60枚から、更にセレクトして、完成版としてみました。

 

コレも順位はありません。

 

 

 

 

Ornette Coleman『Dancing in Your Head』

 

f:id:mclean_chance:20190830113027j:image

 


Joe Henderson『State of Tenor vol,1』

 

f:id:mclean_chance:20190830113008j:image


Joe Zawinul『My People』

 

f:id:mclean_chance:20190830113121j:image

 


Duke Ellington『Afro-Eurasian Ecripse』

 

f:id:mclean_chance:20190830113420j:image


Miles Davis『Get Up with It』

 

f:id:mclean_chance:20190830113549j:image

 


Steve Coleman『Resistance is Futile』

 

f:id:mclean_chance:20190830113746j:image


Henry Threadgill’s Zooid『Up Popped Two Lips』

 

f:id:mclean_chance:20190830113839j:image

 


高柳昌行阿部薫『集団投射』

 

f:id:mclean_chance:20190830113941j:image

 


Roland Kirk『Volunteered Slaverly』

 

f:id:mclean_chance:20190830114036j:image

 


Herbie Hancock『Flood』

 

f:id:mclean_chance:20190830114911j:image

 


Wayne Shorter『Odyssey of Iska』

 

f:id:mclean_chance:20190830114418j:image


Bill Evans『Paris Concert edition 1』

 

f:id:mclean_chance:20190830115030j:image


Claus Ogerman『Cityscape』

 

f:id:mclean_chance:20190830115118j:image

 


菊地成孔『南米のエリザベス・テイラー

 

f:id:mclean_chance:20190830134458j:image

 


Hal Wilner『That’s The Way l Feel Free』

 

f:id:mclean_chance:20190830134601j:image

 


Kip Hanrahan『千夜一夜物語第二集』

 

f:id:mclean_chance:20190830134902j:image

 


Lionel Loueke『Gaia』

 

f:id:mclean_chance:20190830135027j:image

 


Bill Frisell『Blues Dream』

 

f:id:mclean_chance:20190830135149j:image

 


Gil Evans『Priestess』

 

f:id:mclean_chance:20190830135211j:image

 


Charlie Haden『Ballad of The Fallen』

 

f:id:mclean_chance:20190830135238j:image


Cassandra Wilson『New Moon Daughter』

 

f:id:mclean_chance:20190830141325j:image

 


Tigran Hamasian『Shadow Theater』

 

f:id:mclean_chance:20190830141349j:image

 


Paul Motian Erectric Be Bop Band『Europe』

 

f:id:mclean_chance:20190830141402j:image


Pat Metheny Group『Still Life(Talking)』

 

f:id:mclean_chance:20190830141443j:image

 


Charles Mingus『Cumbria & Jazz Fusion』

 

f:id:mclean_chance:20190830141507j:image

 


Donny McCaslin『The Passion of Charlie Parker

 

f:id:mclean_chance:20190830141528p:image

 


Brad Mehldau,Mark Giuliana『Mehliana』

 

f:id:mclean_chance:20190830141548j:image

 


Steve Lehman & Sélébéyone『Sélébéyone』

 

 

f:id:mclean_chance:20190830141615j:image

 


Egberto Gismonti『Dança das Cabeças』

 

f:id:mclean_chance:20190830141820p:image

 


Keith Jarrett『Survivors’Suite』

 

f:id:mclean_chance:20190830145254j:image

 

 

半分に絞り込むというのは実に酷な作業でしたが、結局は自分の関心事でやるしかないですね。

 

ヨーロッパは果てしなくアルバム出てますけども、ECMから何枚か選出した事で勘弁願うとして、やはり、エリントン という柱から考えるという事になりました。

 

ジャズは際限なく広がり、アルバム数もとても個人では把握しきれないほど90年代以降出てますので、全体像を描く事はかなり困難です。

 

私の選出は、あくまでも私が聴いてきたもの。としか言いようがありませんけども、内容は相当に濃厚であり、現在のジャズにつながるものであると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり、30枚では到底おっつかないので、もう30枚を選定しました(笑)

30枚選んでみて、やはり、落ちてしまったのが、多すぎる。

 

という事で、「その2」を選んでみました。

 

こっちの方がより、ジャズファン度が高いと思います。

 

こちらも順位なしです。

 

 

 

【1969-2018 ジャズアルバム  ベスト30 】その2(順位なし)

 

 

 

Woody Shaw『Woody Shaw with Tone Jansa Quartet』

 

f:id:mclean_chance:20190827111750j:image

 


Ornette Coleman『Virgin Beauty』

 

f:id:mclean_chance:20190827111815j:image


Cecil Taylor『Dark to Themselves』

 

f:id:mclean_chance:20190827111840j:image

 


John Scofield『Quiet』

 

f:id:mclean_chance:20190827111859j:image

 


Gil Evans『Priestess』

 

f:id:mclean_chance:20190827111922j:image

 


Charlie Haden『Ballad of The Fallen』

 

f:id:mclean_chance:20190827111939j:image

 


Joni Mitchell『Shadow and Light』

 

f:id:mclean_chance:20190827111949j:image

 


Cassandra Wilson『New Moon Daughter』

 

f:id:mclean_chance:20190827112030j:image

 


Tigran HamasIan『Shadow Theater』

 

f:id:mclean_chance:20190827112042j:image

 


Paul Motian『Garden of Eden』

 

f:id:mclean_chance:20190827112134j:image

 


Paul Motian Erectric Be Bop Band『Europe』

 

f:id:mclean_chance:20190827112145j:image

 

 


Pat Metheny Group『Still Life(Talking)』

 

f:id:mclean_chance:20190827112230j:image


Charles Mingus『Cumbria & Jazz Fusion』

 

f:id:mclean_chance:20190827112251j:image

 


Donny McCaslin『The Passion of Charlie Parker

 

f:id:mclean_chance:20190827112323p:image

 


Uri Caine『urlight / prime light』

 

f:id:mclean_chance:20190827112409j:image

 


Brad Mehldau,Mark Giuliana『Mehliana』

 

f:id:mclean_chance:20190827112439j:image


Steve Lehman & Sélébéyone『Sélébéyone』

 

f:id:mclean_chance:20190827112454j:image

 


Kurt Rosenwinkel『Heartcore』

 

f:id:mclean_chance:20190827112506j:image

 


James Blood Ulmer『Are You Glad to Be in America ?』

 

f:id:mclean_chance:20190827112542j:image

 


John Zorn『Naked City』

 

f:id:mclean_chance:20190827112602j:image

 


Don Cherry『Organic Music Society』

 

f:id:mclean_chance:20190827112710j:image

 


Chet Baker『Chet’s Choice』

 

f:id:mclean_chance:20190827112804j:image

 


Avishai Cohen『The Trumpet Player』

 

f:id:mclean_chance:20190827112825j:image

 


Egberto Gismonti『Dança das Cabeças』

 

f:id:mclean_chance:20190827112940p:image

 


Keith Jarrett『Standards Live』

 

f:id:mclean_chance:20190827113114j:image

 

 


同『Survivors’Suite』

 

f:id:mclean_chance:20190827113146j:image

 


Brad Mehldau『Largo』

 

f:id:mclean_chance:20190827113210j:image

 


Brigitte Fonteine『Comme A La Radio』

 

f:id:mclean_chance:20190827113238j:image

 


Weather Report『Mr. Gone』

 

f:id:mclean_chance:20190827113301j:image

 


Joe Henderson『Porgy and Bess』

 

f:id:mclean_chance:20190827113345j:image

 

選んでみると、ECM多いなあ。

70年代以降、最も質と量が安定していたのは、やはりココであると認めざるを得ないです。

複数になっている人は一枚ではわかりづらい人ですね。キース、メルダウ、モーシャンは一枚聴いてどうこう言っても仕方がない人です。

 

 

 

 

 

 

 

 

Music Magazine 2019.9 50年のジャズ・アルバム・ベスト100

 

 

1969-2018に出たジャズアルバムから、ベスト100を選出する。という企画が、『Music Magazine』でありました。

 

37人の選者にそれぞれ1~30位まで順位をつけたもを集計した結果です。

 

コレだと、いわゆるモダンジャズの巨人たちの大活躍する黄金期がゴッソリと抜け落ちるわけですね。

 

そこがとても面白いと思いました。

 

雑誌の創刊がたまたま1969年であるという事のようですが、結果として、モダンジャズセントラルドグマを外して何が選ばれるのか。という内容となり、同時に、ジャズは「モーニンおじさん」と心中しない。というマニュフェストにもなってます。

 

詳しいランキングは、雑誌を見てのお楽しみですが、見たこともないようなランキングに、驚くと思います。

 

突然ですが、私もコレにならって、30枚選んでみました。ただし、順位はありません。

 

入手困難なアルバムも一部ありますが、中古店で探したり、再発を待てば入手できるものだと思います。

 

 

【1969-2018 ジャズベスト30】(同不順)

 


Ornette Coleman『Dancing in Your Head』

f:id:mclean_chance:20190826170120j:image

 

 

Keith Jarrett『Death and The Flower』

f:id:mclean_chance:20190826170013j:image

 

 


Henri Texier『Mad Nomad(s)』

f:id:mclean_chance:20190826170104j:image

 


Joe Henderson『State of Tenor vol,1』

f:id:mclean_chance:20190826165956j:image

 

 


Joe Zawinul『My People』

f:id:mclean_chance:20190826165946j:image

 

 

 

Duke Ellington『Afro-Eurasian Eclipse

f:id:mclean_chance:20190826170128j:image

 

 

 

Miles Davis『On The Corner』

f:id:mclean_chance:20190826165923j:image

 

 

同『Get Up with It』

f:id:mclean_chance:20190826165910j:image

 

 

同『In A Silent Way』

f:id:mclean_chance:20190826165900j:image

 

Steve Coleman『Resistance is Futile』

f:id:mclean_chance:20190826165847j:image

 

 

 

Carla Bley『European Tour 1977』

f:id:mclean_chance:20190826165836j:image

 

 

Henry Threadgill’s Zooid『Up Popped Two Lips』

f:id:mclean_chance:20190826165819j:image

 

 

 

狭間美帆『Dancer in Nowhere』

f:id:mclean_chance:20190826170132j:image

 

 

高柳昌行阿部薫『集団投射』

f:id:mclean_chance:20190826165754j:image

 

 

Roland Kirk『Volunteered Slaverly』

f:id:mclean_chance:20190826165745j:image

 

 

 

Herbie Hancock『Flood』

f:id:mclean_chance:20190826165737j:image

 

 

 

Wayne Shorter『Odyssey of Iska』

f:id:mclean_chance:20190826165729j:image

 

 

 

Bill Evans『Paris Concert edition 1』

f:id:mclean_chance:20190826165722j:image

 

 

 

Maria Schneider『Concert in Garden』

f:id:mclean_chance:20190826165716j:image

 

 

Claus Ogerman, Micheal Brecker『Cityscape』

f:id:mclean_chance:20190826165705j:image

 

 

 

菊地雅章『Susto』

f:id:mclean_chance:20190826165657j:image

 

 

 

菊地成孔『南米のエリザベス・テイラー

f:id:mclean_chance:20190826165648j:image

 

 

 

大友良英山下毅雄を斬る』

f:id:mclean_chance:20190826165641j:image

 

 

 

Hal Wilner『That’s The Way l Feel Free』

f:id:mclean_chance:20190826165636j:image

 

 

 

Kip Hanrahan『千夜一夜物語第二集』

f:id:mclean_chance:20190826165623j:image

 

 

 

Gerald Cleaver『Adjust 』

f:id:mclean_chance:20190826165617j:image

 

 

 

Bill Frisell『Blues Dream』

f:id:mclean_chance:20190826165612j:image

 

 

 

Art Ensemble of Chicago『People in Sorrow』

f:id:mclean_chance:20190826165601j:image

 

 

 

DCPRG『Franz Kafka’s Amerika 』

f:id:mclean_chance:20190826165554j:image

 

Lionel Loueke『Gaia』

f:id:mclean_chance:20190826165538j:image

デュオ+ドラムというコンセプトですね。

Paul Bley,Gary Peacock,Paul Motian『When Will The Blues Leave(ECM)

 


Personnel;

Paul Bley(p), Gary Peacock(b),

Paul Motian(drms)

 


recorded at AulaMagna,Trevano,

Lugano,Switzerland in March 18,1999

 

 

 

f:id:mclean_chance:20190823165827j:image

ポール・ブレイ


ポール・ブレイは、カナダ出身のジャズピアニストで、2016年に亡くなりましたが、本作は、ECMから出された、『Not Two,Not One』のトリオによる、ライブ録音でして、アルバム録音の翌月の1999年にスイスのルガーノでの録音です。

 


なぜ、このタイミングで出たのかは、わかりませんが、内容はスタジオ録音とともに大変素晴らしいものです。

 


ブレイは結構損なポジションにいますね。

 


彼よりも後に注目されたキース・ジャレットというド派手な存在もあり、芸風がやや似ていたところもあって(特に1960年代のブレイとキースはよく似てます)、どうしてもあのエクセントックなキャラと次々に繰り出す問題作に割りを食っていた感はどうしても否めません。

 


しかしながら、ブレイにはブレイの持ち味はありまして、その独特の静謐なピアノスタイルを確立した1970年代のヨーロッパでの録音は、特筆すべきものがあります。

 


1980年代からはECMでの録音もあり、1999年のスタジオ録音は、久々のピアノトリオでの録音です。

 


ブレイのプレイスタイルは、以前よりもシットリとしたものになり、よりオーソドックスにはなってきますけども、味わいはより深くなっていますね。

 


スタジオ録音は、直訳すると、「2人ではなく、1人でもなく」という事になりますけども、コレはブレイがデュオやソロでの録音を好んでいた事へのある種の自虐で、「今回は3人ですよ」という事を言ってますね。

 


ポール・ブレイ名義にせず、メンバー全員の名前を併記して、特定のリーダーを立てていないところも今日的です。

 


どこかオーネット的な「Mazatlan」、ブレイ独特の空間を生かした耽美的な美しさの光る「Told You So」、オーネット作のタイトル曲、まさかのガーシュウィン作の「I Loves You Porgy」のしみじみとした味わいが素晴らしいですね。

 


個人的には、スローテンポな曲にこそ、ブレイの素晴らしさが発揮されていると思います。

 


全体として、ギャリー・ピーコックのベイスが思いのほか奔放に活躍していて、当時活動中であったキースのスタンダード・トリオとは、趣がかなり違いますね。

 

f:id:mclean_chance:20190823165920j:image

ギャリー・ピーコック。


あちらのトリオでは、キースとジャック・ディジョネットのドラムが活躍していて、ピーコックは比較的引いた立場で演奏しています。

 


本作は、ドラムのポール・モーシャンが、手数の少ないスタイルで場を作り出すタイプなので、そこで、ピーコックのベイスが自由に弾きまくれるスペースができていたという事ですね。

 

f:id:mclean_chance:20190823165951j:image

優秀な門下生を数多く送り出した、ポール・モーシャン。


コレは、スタイルの違いであり、優劣の問題ではありません。

 


唐突に発表された感はありますが(ECMは前からそういうところがありますけど)、相変わらずクオリティの高い作品を出し続けるレーベルではあります。

 

 

f:id:mclean_chance:20190823170043j:image

最近のECMにしては、珍しいジャケット。