mclean-chanceの「Love Cry」

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ジャズ、最後の巨人の証言。

ハービー・ハンコックハービー・ハンコック自伝』

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モダン・ジャズ最後の巨人と言ってよい、ハンコックの自伝。
 
『マイルス自叙伝』『ウェイン・ショーター伝』と合わせて読むと、更に面白いです。
 
ドナルド・バードマイルス・デイヴィスとまさにジャズのエリート街道を歩き、ソロになっても、セクステット→ムアディシ→ヘッド・ハンターズとコレまた順調だったハンコックの伝記は、破天荒は面白さはないです。
 
しかし、アルバム製作に関して、かなり客観的に自己分析しているのが、ジャズファンとしてはたまらんのでした。
 
また、音楽業界で安定した地位を確立するために、ドナルド・バードがあんなにハンコックを助けていたなんて、知りませんでしたね。
 
私は、ワーナー期のハンコックはちょっと迷走しているというか、ちょっとイキすぎてしまってついていけないんですが、ハンコックとしては、絶好調だったみたいですね。ココは意外でした。
 
コカインの使用を、なんと、『ガーシュイン・ワールド』を使っている頃までやめられず、とうとう、更生施設に入っていたという事実を淡々と語っているのは、かなり衝撃的でありました。
 
チャーリー・パーカーチェット・ベイカーを地獄に落とした、ヘロインにはさすがに手を出さなかったようですが。
 
アメリカの芸能界は、ハンコックのような良識派ですら、麻薬に手を出し出してしまうほど、アッサリと手に入ってしまうところなんですねえ。
 
電子楽器にのめり込んでいる所は、機械オタクぶりが無防備に書かれていて、男の子感が満点。
 
個人的には、スペースシャトルの打ち上げが見られなくて、家に帰っても怒りが収まらないところが、可愛くてよかったです(笑)。
 
ラストに出てくるマイルスのエピソードがとてもよかったなあ。
 
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