mclean-chanceの「Love Cry」

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ジョン・ポール・ジョーンズ@新宿ピットイン観戦記!

ロック史に巨大な痕跡を残した、レッド・ツェッペリンのベイシスト、ジョン・ポール・ジョウンズが来日し、新宿ピットインでライヴを目撃してきました!

 

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ジャズのライヴハウスとして、老舗の新宿ピットイン!

 


前売りの但し書きに、「当日はベイスを弾いたり、Zeppの曲はやりません。すべて即興演奏です」と書いてあったにもかかわらず、観客の多くは明らかにZeppファンでしたね。

 


ピットインは基本はジャズのライヴハウスなので、いつもとは明らかに客層が違いました。

 


昔、プロレスのファンで、ブルーザー・ブロディの入場曲の話をしている人(Zeppの名曲「Immigrant Song」が使われていました)、「Plant  Page Jones Bonham」と書いたTシャツを着ている人。

 


あるいは、ロバート・プラントそっくりな髪型をして、腕にロックな刺青を入れている人。

 


まあ、ジャズファンにこんな人たちはいませんよ(笑)。

 


ピットインのお客さんは、ほとんど男性ですけども、このライヴは男性の割合はいつもの通りなのですけども、なんというか、熱量の質が違いますね。

 


あついですよ、Zeppファン!

 

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あつい!! 


私みたいに、即興が聴きたくて来た人は、一割もいなかったでしょうか。

 


Zeppも即興も聴くという人は、相当な少数派でしょうか。

 


ゲストは、恐ろしくん豪華で、大友良英ジム・オルーク芳垣安洋です。

 

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今はなき六本木スーパーデラックスみたいですけども、そこにやってくる、恐らくは大友ファンと思しき外国人とは明らかに違うタイプの人がいましたね。

 


面白くて止まらないので、前置きが長くなってしまいましたが、演奏に話を移しましょう。

 


演奏は前後半に分かれます。

 


前半は、JPジョウンズとチェリストのアンシ・カルトゥネンとのデュオです。

 


結論から申し上げると、面白くなかった。

 


エレクトロニクスの使い方があんまり上手ではないし、チェリストの演奏がとりわけ面白味に欠けました。

 


2人の演奏がお互いをあんまり触発できていないように私には聞こえましたね。

 


マンドリンの演奏をループさせたりするのも、ビル・フリゼールのものすごいものを私はライヴで聴いてしまっているので、JPの演奏それほど良いとは思えませんでした。

 


途中で帰った外国人の女性の方がいましたね。

 


即興のファンでもなさそうでしたし、もしかすると、トム・ヨークがやっているようなものがエレクトロニカで聴けると誤解していたのかもしれないですね。

 


観客のアトモスフィアは正直で、だんだんと緩慢では淀んできているのがわかります。

 


そして、10分ほどの休憩の後に、大友、オルーク、芳垣が参加する後半が始まるのですが、コレが、ガラッと変わります。

 


こんなにまで違うのか。というくらいに別次元ですね。

 


即興音楽の世界で欧米から高く評価されている大友良英のギターの演奏は、全体にものすごいダイナミズムを与えていましたね。

 


とにかく、音の存在感がとてつもない。

 


もしかして、あの場で弾いていたギブソンのギターは、高柳昌行の遺品なのでしょうか。

 


それはともかくとして、太っとくて、ホントにいい音でしたねえ。

 


コレに、芳垣、オルークが見事に応え、演奏がムクムクと動くんですね。

 


大友は、なんと、チョコっと弓弾きまでしております(笑)!

 


今回のライヴで一番Zeppしていたのは、彼でした(笑)。

 


また、ギターリフをひたすら弾きまくる局面があり、コレに芳垣のドラムがドンドンとついていき、更に演奏全体を煽りまくる展開があったのは、ロックファンもついてこれるようにするための配慮でしょうか。

 


いわゆるロックな展開には全くなっていきませんでしたけども。

 


ラップトップのオルークも変な音を繰り出し続けていて面白かったですね。

 


こうなると、御大JPも黙ってはいません。

 


前半とは見違えるほど演奏が積極的でした。

 


アンコールの10分弱の演奏がコレまたよかった!

 

 

 

私はJPの熱狂的なファンではないので、むしろ、観客がどういう反応をするのかに興味があったので、敢えて、一番後ろから聴いてましたけども、後半の客の反応が圧倒的に良かったですし、「すげえよかった」と言いながら帰っているお客さんを私は目撃しました。

 


まあ、正直ですよね。

 


即興音楽というのは、そこそこよい。という演奏はあり得なくて、いいか悪いかしかないんですね。

 


良し悪しが余りにもダイレクトに出てしまう、とても厳しい音楽だと思います。

 


前半聴いた時は、コレはどうなるんだろうと思いましたが、それを完全にわすれさせてしまうほど、後半が素晴らしかったですね。

 


結局、日本勢(オルーク含む)がとにかく素晴らしいかった。という身も蓋もない結論になってしまうんですけども、そういう事を改めて勉強できたライヴでした。

 


出待ちの人たちが、ZeppやJPのソロ作品のレコードを持って終電がなくなる事を覚悟して待っていた姿も、印象に残りました(私は途中で帰りました)。

 


なかなか得難い体験でした。面白かったです。

 

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JPジョーンズの写真はございません!スイマセン!!