mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

「はてなダイアリー」から救い出せるモノをこちらに転載します!

Gil Evans 『Priestess』

 


Personnel;

Gil Evans(p, cond, arr),

Lew Soloff(tp, piccolo tp),

Hannibal Marvin Peterson(tp),

Jimmy Knepper(tb), John Clark(frh),

Howard Johnson, Robert Stewart(tuba),

David Sanborn, Arthur Blythe(as),

George Adams(ts),

Pete Levin(synth, clavinet),

Keith Loving(g),

Steve Neil(b), Susan Evans(drms)

 

Recorded at Saint George Church, NYC, May 13, 1977

 

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実はカナダ出身の、ギル・エヴァンス

 

 

ギル・エヴァンスのアルバムの中で、入手が非常に困難であった本作が、2015年になってようやく再発売された事を素直に喜びたい。


本作の素晴らしさは、まず何と言ってもメンバーの豪華さでしょう。


サックスから見てみると、デイヴィッド・サンボーン、アーサー・ブライスビリー・ハーパー、ジョージュ・アダムズ。

 

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今や大ベテランのサンボーン。

 

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2017年に惜しくも亡くなった、アーサー・ブライス

 

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ドン・プーレンとのコンビが素晴らしかった、ジョージュ・アダムズ。

 


トランペットは、ルー・ソロフにハンニバル・マーヴィン・ピーターソン。

 

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1970年代に一世を風靡した、ハンニバル


この演奏は、ギル・エヴァンスの65歳の誕生日に録音されたライヴなのですけども、これだけの豪華なメンバーが集まったのは、彼の人徳でしょう。


ギルは金もうけをする事には、最後まで無頓着でしたから、ここで演奏しても、各メンバーにとっては大したギャラはなかったてしょうけども、それでも、このマッド・サイエンティストのラボ出身者が一堂に会しているというだけで素晴らしいですね(注)。


映像や写真は残ってないんだろうか。


ギルのアレンジへのこだわりは、並外れており、本作でもその不穏で不安定なテクスチャは炸裂しているが、時にそれが冗長であったり、散漫かつ不可解な演奏になりかねないのですが、本作では、それが奇跡的なバランスで成り立っており、要するに、名演になっております。

 

目玉は、やはり、タイトル曲でのサンボーン、ルー・ソロフ、アーサー・ブライスのソロがそのいずれもが圧巻。


特にルー・ソロフが素晴らしく、生涯、最高の演奏の一つと言っていいのではないか。


ギルの立体的なアレンジは完全に決まっていて、綿密なのか適当なのか判然としないアレンジと名手によるソロが見事にシンクロした時の快感を味わうことが、ギル・エヴァンスを聴くという行為なのです。


和声に関する難しい理論はとりあえず置いておいて、このうまくいくのか否かその日その瞬間になってみなくてはわからない。という、出たとこ勝負的なアナーキーさを、生涯にわたって実践していたギルは、やはり、偉大なるジャズメンですね。

 

このアルバム、LP1枚分、およそ40分ほどの演奏が収まっているのだが、実際はもっと演奏されたに違いなく(明らかに編集の跡あり)、できうれば、完全版を聴いてみたいのだが、もしかすると、他はとんでもない凡演で、プロデューサーである、ジョン・サイモンの判断で、LP1枚になったのかもしれないですね。

 


(注)本作のライナーノートをしっぴつしている村井康司氏によると、ギルの子供たちの通っている学校「City and Country School in Village」のための寄付金を集めるためのイベントでもあったそうだ。

学校にあった楽器がすべて盗難にあったため、新しい楽器を購入する資金を集めるためだった。

なんて、いい話しだろう。。

アメリカのミュージシャンはすごい。

 

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