mclean-chanceの「Love Cry」

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コニッツの隠れ名盤!

Lee Konitz『Worth While Konitz』(Atlantic)

 


Personnel ;

Lee Konitz (as,ts),

Jimmy Rowles or Sal Mosca(p),

Leroy Vinneger or Peter Ind(b),

Shelly Manne or Dick Scott(drms)

 


Recorded in September 26, New York and December 21, 1956, Los Angeles

 


アトランティックでの1956年のロサンジェレスとニューヨークでの録音アトランティック・レーベルでオクラ入りしていたものを、日本が独自に編集して発売したという、実は、日本盤がオリジナルという作品。


要するに、『Inside Hi-Fi』の制作に於いて、恐らくはコニッツの判断でオクラとなってしまったものと推測しますが、いやいやどうして演奏内容は相当なもの。


LP発売当初は、すべてニューヨーク録音とされていましたが、9月26日はロサンジェレスである事が判明し、参加メンバーも西海岸のジャズメンであった事がわかりました。


1956年12月21日のLAの録音は、


コニッツ(as)、ジミー・ロウルズ(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、シェリー・マン(drms)


となり、1956年のNYでの録音は、


コニッツ(ts)、サル・モスカ(p)、ピーター・インド(b)、ディック・スコット(drms)

 

というのが正しい記録のようです。


コニッツは1956年のセッションから、ギンギンの演奏を選びとって、『Inside〜』を作り上げたんだと思いますが、本作の大半がニューヨークのいつものメンバーでなく、西海岸の名手たちと録音したからなのかはわかりませんが、かなりリラックスして演奏してますよね。


コニッツという人は、自分の内面をさらけ出す事がイヤというか、そういう行為をとても嫌っていたのでしょう、表面上は大変クールで無表情な演奏を信条としているようなところがあってそういう演奏もとても素晴らしいんですけども、こういう思わずホンネがポロッと出てしまった演奏が面白いんです。


鉄面皮な男のふとした時に見せる無邪気な笑顔というか、そういう和みが本作の良さなんですよね。


ちなみに、このままの形でCDになった事は今まで一度もなく、『The Complete Atlantic Recordings 1956』というCDの二枚組で、発売された事があります。


しかし、このCDには問題がありまして、曲順が録音順になってしまってまして、アルバムとしての完成度を損なってしまっています。


できれば、このLPの順番に直して聴いた方がよいかと思います。


若しくは、中古LPを丹念に探すという手もあります(比較的安価に入手可能です)。


とにかく、コニッツの隠れ名盤を聴かない手はございません!

 

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リー・コニッツは2020年、新型コロナウィルスの感染により逝去されました。