Lionel Loueke『Gaïa』(Blue Note)
Personnel:
Lionel Loueke(g),
Massimo Biolcati(b),
Ferenc Nemeth(drms)
ベナン出身のギタリストの新作。
コレは心底驚きました。
ベイス、ドラムともに不勉強で私はよく知らないですが、名前から推測するに、それぞれがイタリア人、ハンガリー人でしょうか(注、この三名はバークリー音大の頃から知り合いで、ギルフェマというトリオの名義でも活動しています)。
ハービー・ハンコックのフックアップによって一躍知られるようになった、脅威のギタリスト、リオネル・ルエケ。
マッシモ・ビオカーティ。
フィレンツ・ネメト。
なかなか拍子が取りにくい音楽の連続ですが(笑)、3曲目が大変で、7,6,6と拍子をとっているのでしょうか?取りづらいですね。。
このような、「3,4,3,3」という拍子を1つのかたまりとして、3+1の拍子を敢えて取り込むことでつんのめり感やつまずき感を活かしたグルーヴを作っているんですね。
サイドの2人は、恐らくは長年一緒にやっているのでしょうか(注、その通りでした・笑)。
でないと、こういう複雑な演奏はパッとはできないでしょう。
人間の生理的な動きとは明らかに違った事をやっているので、特別な訓練が必要です。
パッと聴き、アフリカ人がプログレをやっているようにも聴こえ、考えてみるとかなりものすごいですが、ジミヘンのようにフィーリングでいろんなギターリフを弾いていきながら作曲しているのではなく、楽理に秀でた人が意図的に変拍子リフを基本構造とした音楽のようで、そこから更にインプロさせていこうとしているようです。
アフリカの人がジミヘンの音楽をトコトン咀嚼した結果生み出されたという、ものすごい逆輸入ともメタモルフォーゼとも言えるところが、やはりとてもジャズ的です。
最後のビージーズは、何だかフランコのルンバ・コンゴレーズにも聴こえてきますが、コレですら4拍子ではないというね(笑)。
とにかく、近年の異様にリズムが発達しているジャズの、1つの極北がココにあります。
たったの3人でやってるとは思えない音楽ですが、こんな音楽がブルーノートから出ていることにも驚きを禁じえないわけです。