渡辺信一郎『カウボーイ・ビバップ』
CSN&Yの名盤の完全なパクリのBOXセットのデザイン。あからさまな引用が作品中随所に見られる。
とにかく唖然とするほど、好きなものをぶっこむだけぶっこんでいる、この圧倒的な情報量。
ルパン三世、ブルース・リー、タランティーノ、松本零士、深作欣二、ペキンパー、松田優作、ヴィム・ヴェンダース、マカロニ・ウェスタン、ジョン・カーペンター、ゴダール、ジョン・ウー、宮崎駿、アメリカ西海岸の新興宗教などなど。
完全にキャプテン・ハーロックしている、主人公スパイクの敵役ビシャス。
毎回のお話をもっと精緻に分析していけば、もう数限りなく膨大なテクストの引用がありますね。
ストーリーの大半が本筋と関係のない逸脱であるというすごさ(であるがゆえに情報量がものすごい)。
しかし、それを絶妙なバランスでミックスされたスタリリッシュさ。
非常にまとまりが悪い作品だと思いますけども(笑)、それが魅力になっているという稀有な作品。
全編にコスプレ感が漂います。賞金稼ぎでは、フェイがその役割を引き受けますね。
渡辺信一郎は、次回作の『サムライチャンプルー』にも言えますけども、主要キャラが圧倒的に立っていて、それでストーリーが自然に動いてしまうというか、いかにこのキャラクターを使って逸脱していくか。を楽しんで作っているようです。
そして、そのなんでも放り込んでいく世界観を見事に再現していく、圧倒的な画力には心底驚きます。
エドがいませんが、カウボーイビバップの面々。
多分、コレに匹敵するものを考えると、ガイナックスが制作した『王立宇宙軍』くらいしか思いつきません。
今や、日本を代表する作曲家となった菅野よう子のサントラの出来栄えは、ちょっと桁外れですね。
天才ハッカーのエド。女の子です。
ライ・クーダー、HR/HM、ファンク、ブルース、ジャズ、ヒップホップと、エンニオ・モリコーネと、恐らくは監督の好きな音楽をこれでもかと放り込んでくる。
基本は菅野よう子のシートベルツが演奏していますが、今堀恒雄、菊地成孔という、日本でもトップクラスのミュージシャンをも起用して作られたサントラのハイブラウ感は、とてつもないです。
とにかく、過剰なまでのクオリティをテレビアニメという枠から溢れ出すような勢いで作ることができたのは、『王立宇宙軍』と同じく監督第1作であったというのが大きいのでしょうね。
作品中の重要回の1つ、「ジュピタージャズ」より。音楽がとても重要なファクターを持つ作品です。
好きなもの、やりたい事を全部放り込んで、後は野となれ山となれ。という無謀なエナジーが全話にみなぎっていて、それは逸脱の会でも、主人公スパイクを中心としたシリアスな回でも同じ熱量というのがすごいです。
タランティーノ経由と思いますが、70年代のB級アクション映画の黒人の描き方がホントにうまいなあ。
『ルパン三世』以後、最もキャラクターを確立したアニメ作品だと思いますが、意外にスピンオフ作品やpart2のような形で制作される事がない作品ですが(映画版が1作だけ作られました)、恐らくは、もうこの熱量で作る事は監督はできないほどに打ち込んだという事なのかもしれません。
デザインが70年代のアニメを思い出させる懐かしさがありますよね。
かのサンライズがロボットアニメ以外で作り上げた金字塔である。というのも、よく考えると衝撃的です。
ファム・ファタールのジュリア。