Thad Jones /Mel Lewis & Manuel De Sica and The Jazz Orchestra
サド=メル・オーケストラの双頭リーダーのサド・ジョーンズとメル・ルイス。
ジャケットには、コレしか書いておらず、曲目もなし。
デザインもいかにもマイナーレーベルっぽい感じで今ひとつなんですが、内容は、恐らくはサド=メル・オーケストラの中でも屈指の名盤です。
タイトルについている「マニュエル・デ・シーカ」というのは、このアルバムの曲を書いた人で、なんと、映画監督のヴィットリオ・デ・シーカの息子で、映画音楽を主に作曲していた人で、2014年に亡くなっています。
マニュエル・デ・シーカ。残念ながら、日本で知られている映画音楽の作曲はしてないので、あまり知られてません。
本作はすなわち、マヌエルの作品集でして、メインは彼が作曲した組曲「First Jazz Suite」で、最後にイタリアでのライヴでサド=メルの代表曲「リトル・ピクシー」が収録されています。
多分、LPのB面が余っていたので、ライブが入っているのでしょうけども、演奏レベルは相当なもので、全盛期の録音と言ってよいでしょう。
この組曲はLPのB面の最初までかかる、ジャズとしてはかなりの大曲で、こういう試みはジャズでは失敗に終わることが多いですが、このアルバムは、とにかくアレンジも見事で(恐らく、マヌエルがやっているものと思います)、そして、そのアレンジを見事に音化しているサド=メル・オーケストラの卓越した力量が素晴らしいです。
この組み合わせ、もっとたくさん聴いてみたかったですが、残念ながら、これしかないみたいです。
まあ、ほとんど売れなかったんでしょうね。。
演奏では、とりわけ素晴らしいのは、ジョージュ・ムラーツのベイス、ローランド・ハナのピアノで、バンド全体をしっかりと支える要となってますね。
リズムセクションが優れていると、ホーンは気持ちよくソロをとり、120%実力を発揮するものですが、ギル・エヴァンスのもとで活躍した、ビリー・ハーパーの引き締まったソロが素晴らしいです。
一方のリーダーのサド・ジョウンズのフリューゲル・ホルンが素晴らしいのは言うまでもないですが。
このアルバム、残念ですが、権利の関係が難しいのか、今まで一度もCDになったことがありません。
LPが多少流通してますので、探してみる価値は充分にあります。
ディー・ディー・ブリジュワーターがゲストで参加し、なんと、マヌエルも歌っています。