mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

チック・コリア追悼。

Stan Getz『Sweet Rain』(verve)

 


personnel;

Stan Getz(ts),

Chick Corea(p),

Ron Carter(b),

Grady Tate(drm)

 


recorded at Van Gelder Studio,Englewood Cliffs,New Jersey in March 21 and 30,1967

 


2021年に急死したチック・コリアですが、個人的に彼の晩年(今となっては。ですが)のトリオの見違えるような活躍ぶりが、一体どうした事なのか?と思っていたところだったんですね。

 

f:id:mclean_chance:20210212193740j:image

ガンによって急死した、チック・コリア。RIP。

 


残念ながら、彼の最後のトリオは見る事は出来ませんでした。

 

そんな彼を追悼すべく、やや反則気味にコレなんかはいかがでしょうか。


当時のジャズシーンの新星として注目を集めだしたチックをサイドメンに従えてのゲッツのワンホーンカルテットなのですが、コレがゲッツの長いキャリアの中での屈指の名演となりました。

 

f:id:mclean_chance:20210212193909j:image

ジャズ界きっての悪漢、スタン・ゲッツ。珍しくソプラノサックスを構えてますね。

 


チックは5曲中2曲を提供しているんですけども、あたかもゲッツのために作曲したのではないのか。と思えるほど、曲想がゲッツにピッタリでして、「Litha」は惚れ惚れするほど見事ですね。


一見ソフトに吹いているようで、その実フレーズは実にハードでキレキレなゲッツを、まさにキラキラとした才気溢れるピアノで実に的確にコンピングを提供し、ゲッツはますますもっていい調子になっています。


とはいえ、ゲッツは表面上は実にクールを装います。


この南国のフルーツをふんだんに絞って作り上げたような演奏は、チックの代表作な1つと言ってよい、『Return to Forever』へと直結するものですね。


一時期は音楽が軟派に流れすぎて、ちょっと私にはついていけなくなりましたが、60-70年代のチックのアルバムの多くはリーダー、サイドを問わず、聴くべきものがとても多いですね。


この軟派路線が、とくにチックが劇的に変わったとも思えないのに、見違えるほど素晴らしくなったのは、やはり、クリスチャン・マクブライドのベイスとブライアン・ブレイドのドラムスとの掛け合いが良かったからであり、やはり、ジャズはサイドメンに誰が入っているのかがとても重要ですね。

 

本作はゲッツの名盤でもありますし、同時にチックの名盤でもあるんですね。

 

ゲッツ初心者にも、チックを聴いてみたい人にもオススメです。

 

ちなみに、本作のプロデューサーは、クリード・テイラーですけども、彼はよくその商業主義を批判されますけども、このような素晴らしいアルバムのプロデュースもしており、いうほどの商業主義の人とは思いませんが。

 

聴きやすいくせに、実に内容の奥深いアルバムでもあります。

 

 

f:id:mclean_chance:20210212194034j:image