Carly Simon『My Romance』(Arista)
Personnel; 各人gooleで調べるように!
recorded at Power Stasion, New York, 1990?
1981年の『Torch』から9年後、レーベルがアリスタに変わり、またしてもジャズアルバムを出しました。
今度は一部で参加していたマーティ・ペイチがプロデュース、指揮、アレンジをすべて行い(共同プロデュースはフランク・フィリパッティ、副プロデュース、アレンジは、マイケル・コサリン)、フュージョン勢力はマイケル・ブレッカーとスティーヴ・ガッドのみとなり(マイケル・ブレッカーが残留しましたが、すでにジャズ界で本格的に評価され始めているので、もはやこの時点で彼フュージョンと見なすことはできないでしょう)、今回は目新しさで勝負していない事がわかります。
今回も「What Has She Got」のみサイモンの曲で、今回はタイトル曲を含めてリチャード・ロジャースの作曲がとても多く、12曲中6 曲もあり、さしずめ、彼の作品集的な意味合いがあります。
サイモンの歌唱の基本は前回と大きく違わず、素直で真っ直ぐな歌い方だと思いますが、前回よりも明らかに歌の深みが違います。
サウンドの狙いどころもよく練られていて、サイモンの歌を見事に引き立てています。
彼女のジャズへの挑戦は決して、単なる興味本位のようなものではなく、もはや、ライフワークとなりましたね。
アート・ペパーやメル・トーメとの仕事で有名なマーティ・ペイチは、ネルソン・リドルほどの知名度はありませんが、大変な実力者であり、サイモンの素直でウソのないヴォーカルを見事に盛り立てます。
マーティ・ペイチとメル・トーメ。
本作は、リンダ・ロンシュタット『For Sentimenl Reasons』と曲目が複数被っており(「My Funny Valentine 」、「Little Girl Blue」、「Bewtched」)恐らくは意図なものと思われます。
ネルソン・リドル三部作の第3作目にしてリドルの遺作となった、『For Sentimental Reasons』。
しかも、驚くべきことに、本作とロンシュタット『For The Sentimental Resons』のビルボードポップチャートの最高位がともに46位と同じであるのです!
この2作を聴き比べるのもまた楽しいと思います。
リンダ・ロンシュタットをライバル視していたのでしょうね。それはさておき、コレは傑作です。