mclean-chanceの「Love Cry」

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ジャック・ディジョネットはドラムがうまいサウンドクリエイターなのです!

Jack DeJohnette’s Special Edition『Album Album』(ECM)

 


personnel;

John Purcell(as, as), David Murray(ts),

Howard Johnson(tuba, bs),

Rufus Reid(b, el-b),

Jack DeJohnette(drms, keys)


recorded at Power Station, New York, in June 1984

 

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最早説明不要のジャック・ディジョネット。共演したジャズミュージシャンの多くはレジェンド級の人々ばかりです。

 


ジャック・ディジョネットは「ニュー・ディレクション」と「スペシャル・エディション」というグループを結成しました。


前者はアルバムとしては2枚出したのみですけども、後者はメンバーを変えながらもかなり継続していたようで、1990年代までECMでアルバムが出ています。


ディジョネットというと、現在だとどうしてもキース・ジャレット、ギャリー・ピーコクとのトリオのドラマーという事で認識されがちですが(実際、このトリオでの活動が彼の最も長く続いたものになったのは事実です)、実はその合間にもキースと同じレーベルである、ECMからコンスタントにアルバムが出されていた事はもう少し注目されてもいいのではないかと思います。


このスペシャル・エディションは、ディジョネットの自作曲をメインにしたグループであり、彼のサウンドクリエイターとしての面白さが際立っているのですが、本作でとりわけ面白いのは、セロニアス・モンクの「Monk’s Mood」ですね。


ハワード・ジョンソンがアレンジし、アルト、テナー、バリトンの3管にベイスを加え、ディジョネットはキーボードとドラムを演奏するという一風変わったもので、ハワード・ジョンソンのバリトンサックスのグリグリとしたソロが実に素晴らしく、アンサンブルが実にモンク的な浮遊感を作り出しています。

 

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ギル・エヴァンズ・オーケストラの重要メンバーだったハワード・ジョンソンはアレンジの才能もある才人でした。2021年に惜しくも亡くなりました。


モンクの作曲は、ジャズミュージシャンを未だに刺激するらしく、21世紀の現在もしばしば取り上げられていますね。


ほとんどミーターズと化した、「New Orleans Strut」もコレまた楽しい演奏で、ECMとは思えない快演。


こういう演奏を聴いていると、ディジョネットという人はもはやジャズドラマーではなくて、ものすごくドラムのうまいサウンドクリエイターと呼んだ方が的確なのかもしれません。


ディジョネットのポップな部分が出ている、彼の隠れ傑作です。

 

キースとのトリオが事実上不可能となってからも、ジョン・スコフィールドたちと「ハドソン」というグループを作るなど、未だに積極的な活動を行っている、大ベテランですね。

 

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ジャケット写真は家族でしょうか。アルバムは亡くなったディジョネットの母親に捧げられています。