mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

2021年はこんなジャズを聴いてました!

2021年に聴いたジャズ


【新旧マゼマゼです。同不順】

狭間美帆『Imaginary Visions』

Kenny Garrett「Sounds from Ancesters』

Gregory Porter『All Rise』

Hitomi & Edmar Castaneda『Live in Monreal』

R+R=Now『R+R=Now Live』

Charles Lloyd『Dream Weaver』

Charles Mingus『The Black Saint and The Sinner Lady』、『Mingus at Carnegie Hall Delux Edition』

DC/PRG『20 Years Holy Alter War - Mirror Ballism Tour Live』

Fletcher Henderson『A Srudy in Frustration』

Roy Hargrove『Havana』

Huong Thanh & Nguyen Le『Fragile Beauty』

Sam Wikes『Wilkes』

Sam Grendel『Fresh Bread』

Sylvain Luc『Trio Sud』

橋本一子『views』

Gretchen Parlato『Flor』

Dexter Gordon『Clubhouse』

Mark Guiliana『Jersey』

Horace Parlan『No Blues』

Theo Crocker『BLK2LIFE || A FUTURE PAST』

Keith Jarrett, Charie Haden, Paul Motian『Hamburg '72』

 

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『Return to Forever』の準備はココで出来てました!

Circle『Paris-Concert』(ECM)

 


personnel;

Anthony Braxton(as,fl,cl,perc),

Chick Corea(p),

Dave Holland(b,cello),

Barry Altschul(drms, per,whistle)

 


recorded at The Maison de L’O.R.T.F. , Paris on February 21, 1971

 


短命に終わった、「サークル」のフランス放送協会(1974年に廃止。公共放送のラジオ・フランスに改組)でのライヴを収録したアルバム。


サークルは、もともと、チック・コリアデイヴ・ホランドマイルス・デイヴィスのバンドに在籍していた時に意気投合し、ここにドラムのバリー・アルトシュルが加わったトリオでの活動に、マルチリード奏者のアンソニー・ブラクストンが加わった形で成立したのですが、メンバー同士の不和などが原因で活動は一年ほどで終わってしまいます。

 

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もはや説明不要のチック・コリア。生涯現役でした。


後の活動しか知らない人には、ココでのチック・コリアの演奏のハードコアぶりを聴くと驚くでしょうし、あのブラクストンと短期間とはいえ一緒に活動していたというのは、とても興味深いです。


しかし、1969-70年の、過激化していくマイルスのコンボに在籍し、狂ったようにフェンダーローズを弾いていたチックのライヴの様子がマイルスの死後に発表され、よく知られるようになった現在では、ココでの彼の演奏は唐突に過激になったわけではない事がわかります。


が、サークルが発売された頃の日本に於いては、チックのマイルスのもとに在籍していた頃のライヴなど知る由もないですから、このバンドでのありようは、多くのジャズファンには謎だったと思います。


意外にも「Nefertiti」や「No Greater Than Love」が演奏されているので、ブラクストンがいる割には、選曲はエゲつなく厳しくはないので、そんなにビビル事はありません。 


とは言え、この種の音楽を聴こうとしている人には余計な心配かも知れませんが。


このアルバムの聴きどころはCDで言うところの2枚目でLPだとそれぞれ片面に目一杯入っている2つの演奏、「Toy Room-Q & A」、「No Greater Love」です。


いずれも24分、17分を超える演奏なので、それなりの覚悟を持って聴かなくてはなりません。


が、よくよく考えてみると、チックの翌年の大ヒットアルバム、『Return to Forever』もB面目一杯で2つの曲を連続して演奏しているので実は同じだったりする事実が浮かび上がります。


この2つを結びつけて語る言説は余り見られませんし、売上的には全く正反対であろう2枚ですが(ただ、コンサートの観客の声を聞く限りではパリのお客さんは結構来ているように思うので、ヨーロッパでは結構人気あったグループなのかもしれません)、バンドのイニシアチブをチックが完全に握り、ヴォーカルを入れたり、エレピやエレクトリック・ベイスを演奏し、サックス奏者をよりバンドアンサンブル向きに変更すると、実は『Return to Forever』になるではないですか(笑)

 

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説明するのもイヤになる『Return to Forever』。今聴くと意外とハードな演奏である事に驚きます。


コレは聴いていてものすごい発見でしたね。


短命に終わってしまったサークルは後になって聴き返してみると、あの大ヒット作の下準備に結果としてなっていたんですよ。


1967年にフリージャズの指導者的存在として崇拝されていたであろう(当人はそれにどこまで自覚的だったのかがよくわからんですが)、ジョン・コルトレインが亡くなり、音楽的な行き詰まりやマンネリ感も生まれてきたところ、やはり、方法論の見直しなどがそれぞれに行われていたのですが、サークルはバンド名を冠しているだけに、誰かが突出してリーダーシップを取って演奏全体を引っ張るのではなく、全員が民主的にあって、緊迫感と構成力のある演奏をしていく方針が取られています。


この点で、このグループよりも前に結成されている、アート・アンサンブル・オブ・シカゴなども、音楽性こそ違いますが、同じ事が言えますし、キース・ジャレットのあらゆる活動(それは「スタンダード・トリオ」にも及ぶと思います)に見られます。


演奏に於いて終始素晴らしいのは、デイヴ・ホランドの太いのに、ものすごい速弾きな展開もあるベイスであり、彼が演奏の要である事は間違いありません。

 

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今尚現役最高峰のベイシスト、デイヴ・ホランド


もともとがチックとホランドがマイルスのバンドで意気投合したところに、アルトシュルが加わったトリオがこのバンドの核ですので、この3人の演奏になった時の演奏の濃密度は並はずれています。

 

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フリーからオーソドックスな演奏まで幅広くこなす、バリー・アルトシュル。

 


このトリオでのライヴをECMから出してほしかったですね。


傑作スタジオ盤『A.R.C.』はあるのですが。

 

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このアルバムの素晴らしさは既にブログに書きました。


そこにやや異物感を漂わせるアンソニー・ブラクストンが入っているところが良くも悪くも「サークル美」を形成していて、この4人がイザ一斉に演奏すると、ちょっと山下洋輔トリオを思わせるところがあります(特に「73°Kelvin」)。

 

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現在は教育者として、ジャス界に多くの人材を輩出している、アンソニー・ブラクストン。


山下洋輔トリオの、とりわけ第二期と俗に呼ばれる、坂田明山下洋輔、森山威男という日本ジャズ史上にその名を轟かす、恐ろしくキャラの立った3人の演奏はいずれもド派手であり、歌舞伎の荒事のようなカッコいいキメの入る展開を持ちますが、それは「サークル」の目指すところではなく、もっとシリアスで、禁欲的な世界です。


そこが短命に終わった最大の原因のような気もしますが、短命ゆえに美しい演奏であったと言う事は言えると思います。

 

妥協的なアンサンブルではなく、意見のぶつかり合いも辞さない緊迫感は、コレまた短命に終わってしまった、ロックバンドのクリームのような潔さすらあります。


そのグループのライヴをタップリと録音し、発売してくれたECMは当時はまだ、西ドイツの新興レーベルでしたが、ジャズ界に一石投じたいという、マンフレット・アイヒャーの意気込みを感じますね。


2021年に惜しくも亡くなったチック・コリアが、このような演奏をしていた事は忘れてはならないでしょう。

 

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カークの早すぎる晩年の傑作!

Rahsaan Roland Kirk

『The Return of The 5000lb. Man』(Werner)

 

personnel;
Rahsaan Roland Kirk(ts, fl, harmonica, stritch, vo, arr),

Hilton Ruiz or Hank Jones(p),

Buster Williams or Mattathias Person(b),

Charles Persip or Bill Carney or

Jerry Griffin(drms),

Joe Habao Texidor(perc),


Hasard Johnson(tuba),

Romeo Panque(bs, oboe),

Fred Moore(washboard),

Trudy Pitts(org), Arthur Jenkins(keys),

William Butler(g),

Warren Smith(perc),


Betty Stewart(recitation),


Maeretha Stewart(vo),


Hilda Harris,

Aderienne Alber,

Francine Carroll,

Milton Grayson, Randy Peyton,

Arthur Williams(backing vo),


Frank Foster(arr)

 

recorded in summer and autumn(?),  1975

 

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説明不要の大天才、ローランド・カーク


1975年11月に、ローランド・カーク脳卒中を起こし、右半身不随となります。

 

本作の録音年代は未だに確定できませんが、1975年であり、カークが倒れる前のものと思われます。


アルバム1枚半分の録音は病気からの再起以後の1976年に発表され、日本盤のタイトルはも『天才ローランド・カークの復活』と名付けられまして、当時、かなり売れたようです。


カークは1969年から「ラサーン・ローランド・カーク」と名乗るようになり、本作も「ラサーン」と表記されています。


アトランティックからメジャーレコード会社ワーナーに移籍し、パーソネルの膨大さからわかるように、かなりの日数と予算をかけて録音していたのがわかります。


聴いてすぐわかるのは、アトランティック時代とは明らかに作風が変わっている事です。


音がまろやかになったし、なんと、彼のトレードマークの楽器である、マンゼロを演奏していません。


本作はカークのトレードマークである、あの3管同時奏法がないんですね。


しかも、コーラスがついたりと、サウンドが明らかに硬派ではなくなっています。


しかし、それはカークの音楽的軟化を意味するものではないと思います。


「Theme for The Eulipions」の泣きのテナーの音の深さはむしろかつてよりも表現として深まっているのではないでしょうか。


また、ウォッシュボードが入った「Sweet Georgia Brown」の、まるで幼い頃の記憶を思い出しているかのような演奏。


ミンガスの名曲「Goodbye Pork Pie Hat」でのヴォーカルとテナーサックスの多重録音。


しかし、最後のジョン・コルトレインの「Giant Steps」でのコルトレインとは全く異なるアプローチのテナー(高速タンギングによる三連符の多用など)は、やはり、あの過激なカークがちゃんと存在していて、この表現をカークが敢えて選択しているのがわかります。


いくつかのグループを作ってのセッションをかなりの日数にわたって録音しているものと推測されますが、これまでのカークは、よくも悪くもワンマンな音楽であり、要するに彼が圧倒的な演奏をしていれば、あとのメンバーがどうこうというのは、それほど重要ではありませんでした。


よって、カークについて書くとほとんど彼について書くことがほとんどであり、サイドメンについて触れる事はほとんどありませんでした。


しかしながら、本作は明らかにトータルサウンドを志向しており、そのために多くのミュージシャンが起用されており、遂にはフランク・フォスターによるアレンジ(主にコーラスのアレンジと思われます)まで起用しています。


その意味で、本作は「モダンジャズ度」は相当下がったといえます。


しかしながら、それを放棄してまでもカークが追求しようとしたのは、黒人音楽を基点とした、かつてのような「Black is Beautiful !!!」な雄叫びではなく、言葉として陳腐化して、本来の意味を失いつつある、「人類皆兄弟」という、コスモポリタニズムの音楽的表現だったのではないのでしょうか。

 

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実はデューク・エリントンの晩年の音楽もカークのように「人類皆兄弟」となっていきました。

 


かつてのような怒りが演奏から消え、その代わりに湧き上がるような実に穏やかな表情は、カークの音楽的成熟を示すものであり、その余りにも早すぎる晩年の境地だったのかも知れません。


1977年に、42歳という若さで亡くなっていなければ、カークはこの後、更にこの方向性を深めたのでしょう。


このセッションの残りは『Kirkatron』という、モントルー・ジャズ祭での演奏などを加えて、一枚のアルバムとして発売されましたが、コレも大傑作です。

 

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同セッションから作られた『Kirkatron』もオススメです!

 

 

 

 

 

 

vol.13のボーナストラック、ライブ配信行ないます!

エリントン すごいぜ!vol.13

ボーナストラック

 

先日行ないました、「エリントン すごいぜ!vol.13」より漏れてしまった曲について、ライブ配信で補うことにしました。

 

11/30 21:30より、YouTubeで行ないます。

 

セットリストはこちらです。

急遽なので、データは最低限のみです。ご了承ください。

 

1)Teresa Brewre & Duke Ellington and His Orchestra

"It Don't Mean The Thing"

https://youtu.be/jUo0OeGQGhY

 

2)Duke Ellington & His Orchestra etc.

"It's Freedom"

https://youtu.be/dQVjxaqsbfQ

 

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vol.13のセットリストです!

エリントンすごいぜ!Vol.13

〜エリントンとヴォーカル序論〜

1.アイヴィー・アンダーソン~忘れられたジャズシンガー~
1)It Don't Mean A Thing(If It Ain't Got That Swing)(Ellington, Mills)
Arthur Whetsel, Cootie Williams, Freddie Jenkins(tp),
Joe”Tricky Sam” Nanton,(tb), Lawrence Brown, Juan Tizol(btb), Johnny Hodges(ss,as,cl), Barney Bigard(cl,ts), Harry Carney(bs,cl,as), Ellington(p), Fred Guy(banjo), Wellman Braud(b),
Sonny Greer(drms), Ivie Anderson(vo)
Recorded at New York in February 2, 1932

2)All God’s Chillun Got Rhythm(Gus Kahn, Walter Jurmann, Bronislaw Kaper)
Wallace Jones, Cootie Williams(tp), Rex Stewart(cor),
Lawrence Brown, Joe”Tricky Sam” Nanton(tb), Juan Tizol(btb), Johnny Hodges(ss,as), Otto Hardwick(as, cl), Barney Bigard(cl,ts), Harry Carney(bs,cl),
Ellington(p), Fred Guy(g), Bill Taylor(b), Sonny Greer(drms),
Ivie Anderson(vo)
Recorded at New York in June 8, 1937

3)I’m Checkin’Out Goom-Bye (Ellington)
Wallace Jones, Cootie Williams(tp), Rex Stewart(cor),
Lawrence Brown, Joe”Tricky Sam” Nanton(tb), Juan Tizol(btb), Johnny Hodges(ss,as), Otto Hardwick(as, cl), Barney Bigard(cl,ts), Harry Carney(bs,cl),
Ellington(p), Fred Guy(g), Bill Taylor(b), Sonny Greer(drms),
Ivie Anderson(vo)
Recorded at New York in June 12, 1939

4)Chocorate Shake(Paul Francis Webster, Ellington)
Wallace Jones, Cootie Williams(tp), Rex Stewart(cor),
Lawrence Brown, Joe”Tricky Sam” Nanton(tb), Juan Tizol(btb), Johnny Hodges(ss,as), Otto Hardwick(as, cl), Barney Bigard(cl,ts), Harry Carney(bs,cl), Ellington(p), Fred Guy(g), Bill Taylor(b),
Sonny Greer(drms), Ivie Anderson(vo)
Recorded at Hollywood, in June 26, 1941

5)I Got It Bad(And That Ain’t Good)(Paul Francis Webster, Ellington)
Wallace Jones, Cootie Williams(tp), Rex Stewart(cor),
Lawrence Brown, Joe”Tricky Sam” Nanton(tb), Juan Tizol(btb), Johnny Hodges(ss,as), Otto Hardwick(as, cl), Barney Bigard(cl,ts), Harry Carney(bs,cl),
Ellington(p), Billy Strayhorn(celesta), Fred Guy(g), Bill Taylor(b), Sonny Greer(drms), Ivie Anderson(vo)
Recorded at Hollywood, in June 26, 1941

3.ジャズヴォーカルとエリントン
6)It Don't Mean A Thing(If It Ain't Got That Swing)(Ellington, Mills)
Rosemary Clooney(vo),
Clark Terry(tp,frh), Cat Anderson, Willie Cook, Ray Nance(tp), Gordon Jackson, Britt Woodman(tb), John Sanders(btb), Johnny Hodges(as), Russsell Procope(as, cl), Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(cl,ts), Harry Carney(bs,bcl, cl), Ellington(p), Jimmy Woode(b), Sam Woodyard(drms)
Recorded at Columbia 30th street Studios, Manhattan, New York on January 23 & 27, 1956(Ellington)
Recorded at CBS Studios, Los Angeles under the direction of Billie Strayhorn, on February 8 & 11, 1956(Clooney)

7)Day Dream(John Latouche, Strayhorn)
Jo Staford(vo), Johnny Mandel(arr, cond),
Ray Nance, Fagerquist, Conte Candoli(tp), Lawrence Brown(tb), Johnny Hodges(as), Ben Webster(ts), Harry Carney(bs),
Jimmy Rowles(p), Russ Freeman(celesta), Bob Gibbons(g),
Joe Mondragon(b), Mel Lewis(drms)
Recorded at Columbia 30th street Studios, Manhattan, New York
on July 15, 1960

8)All I Need Is Girl( Stephen Sondheim, Jule Styne)
Frank Sinatra(vo), Billy May(arr,cond),
Cootie Williams, Cat Anderson(tp), Lawrence Brown(tb),
Johnny Hodges(as), Russell Procope(as, cl), Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(ts,cl), Harry Carney(bs),
Ellington(p), Jeff Castleman(b), Sam Woodyard(drms) etc.
Recorded in Hollywood, Los Angeles December 11-12, 1967
9)Caravan(Juan Tizol, Ellington, Mills)
Ella Fitzgerald(vo), Clark Terry(tp,frh), Cat Anderson, Willie Cook, Shorty Baker or Ray Nance(tp), Quentin Jackson, Britt Woodman, John Sanders(btb), Johnny Hodges(as), Russsell Procope(as, cl), Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(cl,ts), Harry Carney(bs,bcl, cl), Ellington(p), Jimmy Woode(b), Sam Woodyard(drms)

Recorded in New York, June 27, 1957
3.エリントンにおけるゴスペルミュージックの追求
10)part 4(a.k.a. Come Sunday)(Ellington)
Mahalia Jackson(vo), Cat Anderson, Harold Baker(tp),
Ray Nance(tp,vln),
Clark Terry(tp,frh)?
Quentin Jackson, Britt Woodman, John Sanders(btb), Johnny Hodges(as), Russsell Procope(as, cl), Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(cl,ts), Harry Carney(bs,bcl, cl), Ellington(p), Jimmy Woode(b), Sam Woodyard(drms)
Recorded at Columbia 30th street Studios, Manhattan, New York in February 11, 1958

11)Come Sunday(Ellington)
Eric Dolphy(bcl), Richard Davis(b)
Recorded at Music Maker’s Studios, New York, on July 1 & 3, 1963

12)David Danced Before The Lord(Ellington)
Jon Hendricks(vo),
Cat Anderson, Cootie Williams, Herbie Jones, Mercer Ellington(tp), Lawrence Brown, Buster Cooper(tb), Chuck Conners(btb),
Johnny Hobges(as), Russell Procope(as,cl), Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(cl,ts), Harry Carney(bs,bcl,cl),
Ellington(p), John Lamb(b), Louis Bellson(drms),
Bunny Briggs(tap dancing),
Choir; Herman McCoy Choir
Recorded at Grace Cathedral, San Francisco, on September 16, 1965(Live Broad Casting Recordeing ?)

4.エンディング
13)It’s Freedom(Ellington)
Alice Babs, Devonne Garder, Trish Turner, Roscoe Gil(vo),
Cat Anderson, Cootie, Williams, Herbie Jones, Mercer Ellington, Money Johnson(tp),
Lawrence Brown, Buster Cooper, Benny Green(tb),
Chuck Conners(btb)
Johnny Hodges(as), Russsell Procope(as),
Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(cl,ts),
Harry Carney(bs,bcl, cl),
Ellington(el-p, narration), Jeff Castleman(b),
Sam Woodyard, Steve Little(drms),
Choirs;
The AME Mother Zion Church Choir, Choirs of Hilda’s and St. Hugh’s School, Central Connecticut State College Singers,
The Frank Parker Singes
Recorded at Fine Studios, New York, on January 22 & February 19

 

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カークが音楽的にも政治的にも最も過激だった頃の傑作です!

Roland Kirk『Volanteered Slavery 』(Atlantic)

 


personnel;

Roland Kirk(ts, fl, manzello, stritch, nose flute, whistle, gong, vo),

Ron Burton(p), Vernon Martin(b),

Charles Crosby(drms)(tk 1),

Sonny Brown(drms)(tks 2-5),

Jimmy Hopps(drms)(tks 6-10),

Joe Hsbao Texidor(perc))(tks 1,6-10)

 


The Roland Kirk Spirit Choir (baking chorus)(tks 1-5),

Charles McGhee(tp)(tks 1,5),

Dick Griffith(tb)(tks 1,5)

 

recorded at Regent Dound Studios, MYC, July 22-23, 1969

and at Newport Jazz Festival, July 7, 1968

 

※一部、誤りを指摘されましたので、訂正しておきます。

 

アトランティック期はカークが最も過激なパーフォーマー、政治的アジテーターとしていた時期にほぼ重なりますが、本作はLPではA面が非常に考え抜かれて作られたスタジオ録音、B面はニューポートジャズ祭での熱狂的な演奏が収録された、変則的なアルバムであり、当時のカークの両面を知る事ができる、お徳盤であり、この時期の最高傑作です。

 

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管楽器は金属でできてますから、テナーサックスだけでもかなり重いのですが、これをこんなに首から下げているのは相当大変そうですよね。。

 


タイトルを直訳すると『志願奴隷』。


公民権運動とヴェトナム戦争の長期化がアメリカ社会に不安と分断が渦巻く状況にあり、カークもまたアフリカ形アメリカ人として、その旗幟を鮮明にしたものと考えられますが、「オレは志願してど奴隷になったんだ!」という、当時の白人中心社会であるアメリカの最大の汚点である、黒人奴隷制への痛烈な皮肉ですね。


バート・バカラック作曲家、ハル・デイヴィッド作詞の「I Say A Little Prayer」は、ディオンヌ・ウォウィックの1967年発売のシングル曲で全米4位、R&Bシングルチャート8位の大ヒットで、コレをアリーサ・フランクリンが1968 年にカヴァーし、全米10位、R&Bシングルチャート第3位した、当時の大ヒット曲をカヴァーしているのですが、恐らくカークが参考にしたのはウォウィックのバージョンで(アリーサのカヴァーは、バックコーラスがバックところか「メインコーラス」のように歌っている、ソウルとして考えるとものすごくユニークなカヴァーです。このコーラスがものすごくフィーチャーされている部分はカークは影響受けた可能性がありますね)、それを更にカーク流のブラックミュージックに作り変え、スタジオ録音屈指の名演となりました。

 

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ディオンヌ・ウォウィック。

 

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ソウルの女王、アリーサ・フランクリン。2021年に伝記映画『リスペクト』が公開され、ジェニファー・ハドソンがアリーサ役です。


この思わず踊りたくなるようなものすごい扇動性を、バカラックの曲から捻り出してしまうカークのアレンジ能力の凄さには脱帽せざるを得ません!


冒頭でカークが「They Shot him down to the ground !」と叫んでますが、恐らく、この曲の録音と同じ年に暗殺された、マーティン・ルーサー・キング牧師を指しているものと思います。

 

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 公民権運動の指導者として、ノーベル平和賞を受賞しましたが、1968年4月4日にテネシー州メンフィスで暗殺されました。

 


つまり、このカヴァーは彼の死を追悼する「小さい祈り」 でもありました。


その他にも、コレまたスティーヴィ・ワンダーの名曲「My Chérie Amour」も大変な名演。


ティーヴィの屈託のない明るさを更に明るくしたようなカヴァーで、私はスタジオ録音では2番目に好きです。


この、まるでポップスのアルバムを作るような精巧さで作られた、レコードで言うところのA面に対し、B面は1968年のニューポートジャズ祭に参加している様子を録音したのもです。


こちらは彼の当時のレギュラーメンバーでの熱狂のパフォーマンスで、観客もMCもやんややんやの大騒ぎで、ほとんどロックライヴ状態です。


圧巻は1967年に亡くなった、ジョン・コルトレインへの追悼を兼ねてのメドリから、カークの定番曲「Three for The Festival」へと一挙になだれ込んでいくところが、痛快極まりないです。


唸り声を上げながらのフルートソロには唖然としてしまいますね。

 

コルトレインの『至上の愛』のフレーズの意図的な引用が見られますが、実は「I  Say A Little Prayer」でも引用しているんですよね。


本作は熱狂のブラックネスが大爆発した、祝祭的なジャズですが、そこには時代の英雄であった、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ジョン・コルトレインへの追悼の意味が込められている作品でもありました。

 

が、やはり、全編を貫くブラックネスこそが本作の最大のキモであると思います。


前回紹介した、『溢れ出る涙』とともにお聴きください!

 

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天才ローランド・カークを聴こう!

Roland Kirk『The Inflated Tear』(Atlantic)

 


personnel;

Roland Kirk(ts, stritch, manzello, fl, oboe?, cl, whistle, perc?, vo),

Ron Burton(p), Steve Novosel(b),

Jimmy Hopps(drms),

Dick Griffith(tb)(Fly by Night only)


recorded at Webster Hall, New York City in November 30

 

 

 

ローランド・カークは、ジャズ史全体を通しても傑出したジャズメンであり、そのユニークな外面とは裏腹に、実はオーソドックスで伝統重視なミュージシャンであるという点をまずは押さえておく必要があるでしょうね。


カークは41歳という若さで亡くなりましたが、その圧倒的な演奏能力、その表現の強さとユニークさに於いて、余りにも飛び抜けているため、「ジャズ史に於いて傑出したジャズメン」と言いながら矛盾してしまうのですが、実はジャズ史というものに位置づけるのが難しい人物でもあります。


しかし、その遺された音楽は決して難解なものなど皆無であり、ごく有り体に行ってしまえば、大変優れたブラックミュージックなのであり、その意味で、ジャズにはさほど食指をそそられない人、例えば、ブルースやR&B、ソウルが好きな方にもとてもとっつきやすい人で、むしろ、ジャズの中ではどちらかとキワモノ視されていていた観があり、むしろ、ロックやブラックミュージックを愛好する人々にもてはやされていたように思います。


しかし、カークという人は、そのユニークで肉感的快楽に満ち満ちたサウンドというものの骨格をなしているものは、ハードバップであると思います。


それはとりわけマーキュリー期の傑作と言える、『We Free King』や『Domino』を聴くと明確であり、ことのほか、彼の音楽は端正です。


カークの基本はバップであるということです。


証拠に本作のラストである、「Lovellevelliloqui」は高速ハードバップですね。


ここを起点として、カークはありとらゆる黒人音楽をバリバリと噛み砕いて飲み込み、「カーク的」としか言いようのない、全く独自の音楽に作り変えているのですね。


実際、カークの伝記を読むと、彼は時間があると、いろんなレコードを購入し、とにかく聴きまくっていたようです。


ご存知のように、ローランド・カークは、幼い頃の医療事故が原因で失明してしまい、以後、全盲として生きていたんですけども、彼の音楽はむしろ視覚的である事に驚きます。


視覚的。というよりも、むしろ、記憶的なのかも知れません。


彼が聴いてきた音楽の重層的な積み重ねを脅威的な演奏能力と耳の良さで再編集して、聴き手に提示しているように聞こえるんですね。


様々な楽器を駆使しているのは、彼が記憶の中で掴み取っている音色を忠実に再現するには、テナーサックスだけとか、ソプラノサックスに持ち替えるくらいでは追いつかず、カークのトレードマークである、3つの管楽器(マンゼロ、ストリッチ、テナーが多いです)を同時に咥えて演奏するという、一見曲芸めいた事にすらなっていきます。

 

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左からマンゼロ、ストリッチ、テナーサックスです。マンゼロはサクセロという、ソプラノサックスの仲間、ストリッチはストレート・アルト・サックスでわずかしか生産されてません。


コレは別に見た目の面白さを追求しているのではなくて、出したい音を追求した結果なのだと思います。


実はモダンジャズではこういう人は珍しいです。

 

というのも、モダンジャズはとても記号的な音楽で、コード進行の増設やモードの設定などをよりどころにアドリブしていくという、やり方であり、カークもコレを基礎としてはいるのですが(ライヴではチャーリー・パーカーそっくりにアドリブを取ることすらやってのけます)、彼の独自性は、そのサウンドの追求なんです。

 

チャーリー・パーカーやジョン・コルトレインとカークの音楽はそこが違うように思うんです。


タイトル曲「溢れ出る涙」はほとんどアドリブなどなく、ミンガスを思わせるストーリー展開のある曲ですけども(彼の失明の原因である医療事故をモチーフにしているようです)、こういう音楽はモダンジャズの発想ではありません。

 

恐らくですが、カークの最も優れた資質は耳の良さなのではないのかと思うんです。

 

本作は、カークの様々な側面が実にコンパクトな形でまとまっている点で、彼の音楽を聴いたことのない人に是非とも聴いてほしいアルバムなのですけども、一枚のアルバムでいろんな事をやりながらも「カークミュージック」としての一貫性を感じるのは、その耳の良さ、即ち、レコードや他人の実演による音楽的蓄積を巧みに肉付けし、自身の演奏として完全に血肉化していく過程が明確だからなのではないかと。

 

それは単に楽器がうまいとか、そういう事だけではなし得ない表現の深さと強度を獲得しているのではないかと思います。


こういう人はジャズではデューク・エリントンくらいしか思いつかず、後は、スティーヴィ・ワンダなのかもしれません(奇しくもスティーヴィも盲目でマルチプレイヤーです)。


単なるブルースがカークが演奏すると、とてつもない深みが出てくる「Black and Crazy Blues」、循環呼吸法を駆使して、全く息継ぎする事なく猛烈なスピードでテナーソロを演奏する「Many Blessing」、カークの優しい側面がうかがえる、フルート演奏が素晴らしい「A Laugh for Rory」、「Finger in The Wind」、5拍子でマンゼロを吹きまくる「A Handful of Five」などなど、どれも素晴らしいです。

 

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管楽器を首からたくさんぶら下げ、なおかつフルートを自在に吹きこなすというのは、ほとんど超人的と言ってよいです!


本作は、カークが政治的にも音楽的にも最も過激になっていった時期の始めの方のアルバムですが、その音楽的な深さは、時代を超えて聴く者に大きな感銘を与えることは間違いありません。


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