mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

菊地成孔を聴く、第二回です!

菊地成孔を聴く vol.2 〜ONJQとTZBを中心に〜

 

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エリントンすごいぜ!が安定してきましたので、「菊地成孔を聴く」も復帰いたします!

 

第二回目は、ONJQ大友良英ニュージャズクインテット)とTBZ(東京ザヴィヌルバッハ)という、菊地さんにとって、とても重要な2人、大友良英坪口昌恭両氏との活動を中心に見ていこうと思います!

 

あまりにも多方面な活動で非常に多作な方で、全貌が掴みづらいかもしれませんが、音源の一つひとつを丁寧に聴いていく事で、いろいろと見えてくるものがあるのではないか?という、イベントです!

 

エリントンすごいぜ!と同じく、おやつ持ち込み可ですので、よろしくお願いします!

場所:夜学バーbrat 台東区上野2-4-3 池之端すきやビル3F

 

http://ozjacky.o.oo7.jp/brat/index.html

 

JR御徒町、メトロ上野広小路駅上野御徒町など、最寄駅多数!

 

日時: 3/8(日)  open 13:30 start 14:00-16:30

 

料金: 800円+2drinks

 

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エリントンすごいぜ!vol.7のセットリストです!

前も書きましたが、現場で曲を聴いて、説明を聞く事でわかる仕組みとなってますので、是非ご参加いただけると嬉しいです!

 

次回は4/4で「キャピトル時代のエリントンを聴く」の後編となります!

 

お楽しみに!


曲目リスト(エリントン以外はミュージシャン、アルバム名を付記)

 

1.Rockin’ In Rhythm
2.Boo-Dah
3.All Day Long
4.Dear Old Stockholm / Bud PowellBud Powell in Paris』(Reprise)
5.Stardust / Nat King Cole『Love is The Thing』(Capitol)
6.Get Happy / Frank Sinatra『Swing Easy !』(Capitol)
7.Montevideo
8.Isle of Capri
9.Bakiff
10.Echo Tango
11.Bunny Hop Mambo
12.Ultra Deluxe
13.Don’t Ever Say Goodbye
14.Band Call
15.Gonna Tan Your Hide
16.Happy-Go-Lucky Local
※A Stranger Called The Blues / June Christy『Something Cool』(Capitol)
17.Orson

 

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1986年に録音された二つの録音からウィントン・マルサリスを考える。

Wynton Marsalis『Marsalis Standard Time vol.1』、『Live at Blues Alley』(columbia / Legacy)

 

 

 

Personnel ;

Wynton Marsalis(tp),

Marcus Roberts(p),

Robert Leslie Hurst Ⅲ(b),

Jeff “Tain” Watts(drms)


recorded at RCA Studio A on May 29-30 and September 24-25, 1986(Marsalis Standard Time vol .1),


recorded at Blues Alley, Washington, D.C. on Friday, 19 and Saturday, 20 December, 1986(Live at Blues Alley)

 


アート・ブレイキーのジャズメッセンジャースに久しぶりに大変な神童トランペッターが加入して、過去の遺物と化していたこのコンボが再び脚光を浴びました。


それがウィントン・マルサリスです。


リー・モーガンの再来」というのは決して冗談ではない、ブリリアントな才能に溢れたプレイは、次世代を担うスターとなる資質充分でした。


その彼が独立してリーダーとしてアルバムが続々と出されましたが、ここではとても対照的な2枚を紹介しておきましょう。


「スタンダード・タイム」というシリーズは、コロンビア(現在はソニー傘下のレーベルです)からvol.6まで出されました。


ワンホーン・カルテットで「キャラバン」、「パリの四月」、「チェロキー」、「枯葉」と言った、言うなれば、「ど」がつくジャズスタンダード曲を遠足するという、まだ24歳の若者とは思えないとても大胆な(だか、一歩間違えると、大変後向きでもある)試みですが、恐ろしいまでの一心同体ぶりで、とてつもない技術で弾きこなしてしまうのは、恐らく誰が聞いても唖然とするのではないでしょうか。


「パリの四月」は、テーマをBPMを伸び縮みするように早くしたり遅くしたりをポリリズムを加えながら一糸乱れずに演奏するというのは、恐らくは一発勝負ではなく、相当な鍛錬を積み、考え抜かれたアレンジによって作られたものと思います。


当時、こんな事が出来るのは、ブレッカー・ブラザーズくらいなものでしょうけども、同じ頃、キース・ジャレットが結局、2010年代まで続くこととなった「スタンダード・トリオ」とマルサリスがやっている事は、明らかに違う気がします。


キースは60年代に、チャールズ・ロイドのサイドメンとして脚光を浴び、更に短期間だけマイルス・デイヴィスのバンドに在籍した後独立して、数々の問題作を量産する、ジャズ界の異端児というか、やる事なす事常に物議を醸し出す怪物的な存在でした。


この時代のやりたい放題が私には1番楽しいんですが(笑)、そんな彼が突然出したのが、『Standard vol.1』『同 vol.2』が出て、逆に驚いてしまいました。


しかも、コレが大変な名演で、キースの溢れんばかりの才気がスタンダード曲といういい意味での制限をつける事で、拡散的な表現ならなりがちが彼のピアノの表現が的を正確に射るようになったと思います。


この表現と形式のものすごい相克の中で、「今ここ」で演奏されるスリリングを改めて生み出すという喜びを表現するという、ある意味、モダンジャズの原点回帰的なエネルギーを取り戻そうとしているような気がします。


キースは当時のジャズの異端児であり、異物感タップリな存在ですが、ウィントンが脚光を浴びたのは1980年代初頭という、ジャズがかつてのような熱気を帯びていた時代がもう過ぎ去った後です。


ウィントンは大変アタマのいい人であり、この厳しい現実をかなりシビアに受け止めていたものと思います。


そんな彼がスタンダード集を作ったのは、ジャズファンの保守化に乗る。という、政治的な戦略だったのでしょう。


しかも、表面上は汗ひとつかかないで(実際は汗だくだと思いますが)、非常に破綻のない、しかし、唖然とするようなテクニックをこのカルテットは見せつけます。


その最たるものが、前述した「パリの四月」であり、ここでの演奏法は他には「枯葉」でしか大々的にやってないので、彼らでもコレは相当難しい演奏でそう易々とはできないのでしょう。


クレジットにワザワザ、誰がアレンジをしました。という事をモダンジャズのスモール・コンボの演奏で載せる事はとても珍しい事ですが、このアルバムは全曲書いてあります。


つまり、ウィントンたちには、かつてのようなアドリブを競って無邪気に盛り上がっていれば、ジャズが活性化されるという事にかなり懐疑的なんですね。


そこをどのように評価するのかによって、ウィントンの評価というのは、かなり変わってしまいます。


しかも、更に混乱するのは、同じ1986年に、ワシントンD.C.のライブハウス「ブルース・アリー」での全く同じ編成で、燃えに燃えまくる演奏をしているからなんですね。


ジャズファンで、この演奏を聴いて血が騒がない人はまずいないであろうライヴ盤であり、コレを聴けば、どんなにウィントンに疑念を持つ人もコレは認めざるを得ないでしょう。


たまたま、同じ曲「枯葉」が演奏されているのですが、両方の演奏を何も知らずに聴かせれば、同じ人たちが演奏していると気がつかない人もいるでしょうね。


ウィントンはやろうと思えば、いつでも熱血ジャズをやる事が出来るのですが、彼は敢えて「クール」な表現をスタジオ録音では選びとっている事を、この2つのアルバムを聴き比べるとわかります。


私はウィントンのスタジオ録音から感じるのは、ジャズをある演奏形式みたいなものとして考えているフシがあるのではないのか?という疑念です。


私は演奏に精巧なアレンジを加えていく事や、敢えて燃え上がらないように演奏する事に反対するつもりはありません。


ポール・デズモンドが目指していたのは、まさにそういう美学でしたから(かなり屈折してますけど)。


マイルスをディスってビーフに持ち込むなど(しかも、マイルスの60年代のクインテットのメンバーをサイドメンにしたアルバムがウィントンのソロデビューなのです)、知的な戦略にも長けています。


しかし、ジャズというものをとても狭い範囲で考えすぎている気がしないではありません。


聴いていて、とてもスリリングではあるんですが、それと同じくらいにアタマで構築している事が先行している事などなど、要するに、彼の音楽は見た目以上に実は生煮えだったのではないのかと思います。


この事は、ライヴ盤を聴くとかなり露わになってしまっています。


と言うのも、こちらのライブ盤だと、ウィントンは全力を出して吹きまくるのに、サイドメンはほとんど引きずられるように演奏していて(決してヘタではないのですが)、ウィントン以外はその他大勢であるという冷酷な事実がバレてしまっているんです。


つまり、スタジオ盤の演奏は実はバンドの水準にウィントンが合わせている側面もあるんですね。


ウィントンの発想やコンセプトは理解できても、技術的にまだまだついてこれる人はほとんどいなかった。という事なのでしょう。


そういう意味で、ウィントンのみを悪の権化のように言う時代はもう終わったのだと思います。


ただ、現在に至るまで、ウィントンのサイドから、優秀なジャズメンが出てきているとは言えないのは、ちょっと考えものです。

 

 

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地獄の音楽です(笑)。

Chet BakerChet Baker Sings and Plays』(Pacific Jazz)

 


Personnel;

Chet Baker(tp,vo), Russ Freeman(p, arrenger), Carson Smith or Red Mitchell(b), Bob Neel(drms),


Bud Shank(fl), Corky Hale(harp)

and Strings


Johnny Mandel, Marty Paich, Frank Campo(arrenger)

 

 

recorded at Capitol Studios, Hollywood, CA in February 28 and March 7, 1955

 

 

 

『レッツ・ゲット・ロスト』というドキュメンタリー映画をご存知だろうか?

 


チェット・ベイカーの晩年の様子を撮影したドキュメンタリー映画なのですが、撮影途中でチェットがアムステルダムの二階の自宅から転落死。してしまい、えいがのラストもそこで終わるというもののですが(現在、日本版のDVDは出ていないのですが、輸入版がAmazonで購入できます。英語の字幕をつければわかるという方はチャレンジしてみてください)、そこに写っているチェットは、完全に死神です(笑)。

 


恐らくは、長年の麻薬中毒のせいで、肉体に相当なダメージがあるのだと思いますが、その尋常ではない風貌は、若い頃のハンサムな姿は想像することなど全くできないのですが、しかし、その死神は、エラく女性にモテモテなのです。

 

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晩年のチェット。老人を通り越して、疫病神です。。


なぜそんな人間が?という疑問は、ドキュメンタリー映画を見ていただくとよくわかります。

 


さて、前置きが長くなりましたが、本作は人気絶頂期のチェットの録音でありまして(あの帝王マイルスよりもアメリカでは人気があったんです)、まさしく、絶頂期の演奏と言っていいでしょう。

 

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若い頃のチェット。

 


チェットは一時期、日本ではとても軽く見られていましたが(ウェストコーストの白人ジャズ全体がそう見られていたフシがありますけど)、現在はそういう偏見もないでしょうから、是非CDなり、レコードなりで聴いてもらいたいのですが、一見、軽やかなアレンジに乗っかっているようなチェットのラッパとヴォーカルは、よくよく聴きますと、相当に危険と言いますか、麻薬的な世界に引き摺り込まれる感覚があります。

 


私は麻薬は嗜みませんが(笑)、明らかにチェットの持っている資質は、背徳的な世界だと思います。

 


それが、彼の華麗なテクニックによって、若い頃の演奏には見えてこないところがあります。

 


しかし、晩年のチェット(と言っても50代なので、まだ若いんですが、風貌は老人です)の演奏は、麻薬の支払いが滞った事が原因で売人たちに襲撃されて、前歯を失ってしまうという、トランペッタとしては致命的な大怪我をしてしまい、前歯は差し歯にして演奏するようになるんですが、かつてのような華麗なテクニックが失われてしまいます。

 


しかし、彼が本来持っていた凄みが剥き出しになって現れてきまして、出来不出来はあるのですが、すごい時の演奏はちょっとコワイくらいにすごいんですね。

 


で、その凄みは実は、もうこの1955年の録音にもすでに入っていることが改めて遡って聴いてみるとよくわかるんですよね。

 


このアルバムを出した、ロサンジェレスのレーベル、「パシフィック・ジャズ」は、不健康なイメージのあるモダンジャズ(実際、アルコールや麻薬の依存症の人が多かったので、イメージ悪いのは当然なのですが)を健康的なイメージで売っていこうとしていたようで、ジャケットでチェットをヨットに乗せてみたりしているんですが(あと、黒人=ダーティ、白人=クリーンという悪しきステロタイプを悪用している気がします)、実際のパシフィック・ジャズ所属のジャズメンである、チェットやアート・ペパー、ジェリー・マリガンなどは、みんなジャンキーでした。

 

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アルトサックスの名手であったペパーは、麻薬の不法所持で、1960年代を刑務所で過ごす事となりました。

 


この「健全路線」がなぜか上手くいきまして、ウェストコースト勢は一時期大変よく売れたようで、そのトップがチェット・ベイカーでした。

 


日本のジャズファンは、モダンジャズからシリアスなものを受け取りたいという欲求がありまして、そういうチャラい売れ方をしてしまったチェットは、不当に低い評価を下されていたんですね。

 


ジャズがシリアスだったのは、ジャズを俯瞰するとむしろ例外的なのですが。

 


決して技巧的に上手いとは言えない、少々薄気味悪いともいえるチェットのヴォーカルは、不思議なことに、チェットのトランペットと同じ、麻薬的な背徳感があってハマると魅力的です。

 


「You Don’t Know What Love is」の魂を吸い取られてしまうような歌声はまさに死神です(笑)。

 


晩年のチェットのヴォーカルは、相変わらず上手くなってはいないのですが、不思議と味わいが濃くなっていて、説得力は若い頃よりも遥かにすごいです。

 


晩年のチェットの凄さを知りたい方はは、クリスクロスというドイツのレーベルから出ている『Chet’s Choice』というドラムの入っていない、変則的な編成のトリオの録音をオススメしておきます。

 


チェットを聴くと、ジャズという音楽の底知れない地獄が見えてくるんですね。コワイのですが、抜け出すことのできない魅力なのです。

 

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エリントン すごいぜ!vol.7

エリントン すごいぜ!vol.7 キャピトル時代のエリントン を聴く

 

エリントンは1953-55年の短期間にメジャーレーベルのキャピトルと契約して、何枚かのアルバムを作りましたが、あまり注目されてきたとはいえません。

 

本イベントでは、実際に音源をききながら、実際は極めて面白く、その後のエリントンの復活(一般的に言われるニューポート・ジャズ・フェスティバルでの健在ぶり)は、すでにこのキャピトル時代に作られていたのではないのか?という事を考えてみたいと思います。

 

場所:夜学バーbrat 台東区上野2-4-3 池之端すきやビル3F

JR御徒町駅東京メトロ上野広小路駅など、最寄り駅多数!

日時:2/2 open 13:30 start 14:00-16:30

料金:1000+2drinks 1600円

お店を汚さないようなおやつでしたら、持ち込み可能です!また、お店でもおやつは購入可能です!

 

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解禁でございます!

次回、2020年2月2日に開催いたします、『エリントンすごいぜ!』vol.7より、おやつ持ち込み可といたします。

 

ただし、ドリンク類はお買い求めください。

 

また、油ギトギト、音バリバリ、粉ボロボロは厳禁でございます。

 

音楽を聴くのがメインであるのと、午後5時からの営業に支障があるためです。

 

夜学バーbratの方でもおやつの販売はいたしますので、ご利用下さい。

 

私も喋ってると、血糖値がドンドン落ちていくのがわかるので(笑)、途中で補給した方がいいと思っていたところでの朗報でした。

 

それでは、次回は、キャピトル時代の音源を聴いて楽しむイベント、乞うご期待ください!

 

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12/2のセットリストです!

エリントンすごいぜ! vol.6のセットリストです!

 

曲目だけ見ても、カレー屋さんでらっきょうとライスだけ食べているのと同じでございます!

 

実際に聴いて、解説があってこそ、「そうだったのか! すごいぜエリントン!」となるので、是非とも実際にご参加くださいませ!

 

1.Perdido from Ellington『Piano in The Background』

2.Honeysukle Rose from Ellington『The Capitol Sessions 1953-55』

3.Scrapple from The Apple from Charlie Parker『Complete Dial Sessions』

4.Fat Boy from Fats Navarro『Fats Navarro Memorial』

5.Things to Come from Dizzy Gillespie『Groovin’ High』

6.U.M.M.G from Ellington『Studio Jazz Party』

7.Tempus Fugit from Bud Powell『Jazz Giant』

8.Down with It from Bud Powell『The Scene Changes』

9.Kinda Dukish from Ellington『The Capitol Sessions 1953-55』

10.Who Knows? from Ellington『The Capitol Sessions 1953-55』

11.Janet from Ellington『The Capitol Sessions 1953-55』

12.Lady be Good from Ellington『The Capitol Sessions 1953-55』

13.Cotton Tail from Ellington『DUKE’S BIG 4』

14.Melancholia from Ellington『The Capitol Sessions 1953-55』

 

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