石川美子『ロラン・バルト』(中公新書)
あまりに面白く、ほとんど1日で読んでしまった。
わずか200ページほどで、20世紀を代表する思想家、批評家であったロラン・バルトの思想的な変遷が大変わかりやすくまとまっていて、とてもわかりました。
青年期の不運で、図らずもアカデミズムの傍流に甘んじざるを得ないなかでソシュール記号学とであい、独自の批評を展開したバルトが、晩年の『テクストの快楽』から『明るい部屋』に至る、文字通りの「小説の準備」と、それを中断させてしまう交通事故とその後の病院のミスによる死を描く後半がとりわけ興味深かかったです。
私は、70年代のバルトが特に好きで、『テクストに快楽』と『彼自身によるのロラン・バルト』は特愛読者ですが、それをバルトの思想的な変遷のなかで余り位置付けながら考えたことはなかったので、本書は大変有用であった。
ロラン・バルトというのは、どういう人だったのかという事知りたい初学者の人には便利にできていて、引用されたテクストが全ての巻末に掲載されているので、バルトの著作を読んでみようという人にもとても便利にできているのが、心憎く、ロラン・バルトのテクストへ無理なく誘ってくれるように作られている。
コレを機に、『現代社会の神話』と『記号の国』は読んでみよう思いました。