mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

本年はエリントン生誕120周年でした。

渋谷区主催のエリントンのイベントにいく。

 

2019年は、デューク・エリントンの生誕120周年なんですが(1899年生まれ。誕生日は昭和天皇と同じ。昭和天皇は1901年生まれ。20世紀の始めの年に生まれてます)、なぜか渋谷区がコレを記念して2日間之イベントを行ったんです。

 

f:id:mclean_chance:20190309194619j:image

f:id:mclean_chance:20190309194614j:image

 


3/4は、ミュージシャンの大友良英さんがエリントンの魅力を語る。というもので、翌3/5は、渋谷毅さんが長年活動している、「エッセンシャル・エリントン」のコンサートという、非常にツボを心得たイベントでした。


エリントン者としては、コレに参上しないわけにはいかず、両日共に楽しんできました。


まずは、大友さんのイベント。

 

f:id:mclean_chance:20190309194747j:image

大友良英(画像はすべて当日のものではありません)


前半は、1920-30年代之音源をかけながら、エリントンのユニークさをたどっていくというものでしたが、エリントンが若い頃から、録音でいろんな実験をし続けていた人なんですけども、ミュージシャンとして、大友さんも相当刺激を受けているみたいですね。


と、悠長にやっていると、とても2時間でエリントンが語り尽くせない事が判明してきまして(笑)、後半は、大友さんの現場力が発揮されて、武満徹(武満は、エリントンを大変尊敬していました)、服部良一、ミンガス、マイルス、コルトレインなどをかけながらエリントンを語るという縦横無尽で痛快な内容に変貌しました。


面白かったなあ。


エリントンというミュージシャンはものすごく懐が深いので、こういう事が可能なんですよね。


翌日は、ジャズピアニストの渋谷毅さんが長年活動されている、「エッセンシャル・エリントン」のライヴでした。

 

f:id:mclean_chance:20190309194908p:image

渋谷毅


エッセンシャル・エリントンはもともと、渋谷さんのピアノにリード奏者の2人にチューバを加えた、かなり変則的な編成なのですが、前半は、ここにアルトサックス/ソプラノサックスの津上研太さんとヴォーカルの清水秀子さんがゲストに参加しての演奏しでしたが、私がより面白く思ったのは、渋谷毅オーケストラのメンバーをゲストも加えて大編成となった後半です。


特に面白かったのは、ゲストに加わった太田惠資のヴァイオリンとヴォーカルです。

 

f:id:mclean_chance:20190309194949j:image

太田惠資


エリントンのオーケストラには、ヴァイオリンとトランペットを演奏する、レイ・ナンスという人がかなりの期間在籍していましたが、太田さんの、全くジャズとは関係のないヴォーカルを突然歌い出したのが、ものすごくよかったんですよね。

 

f:id:mclean_chance:20190309195111j:image

 レイ・ナンス


エリントンの曲は歌うのがとても難しく(キャッチーなくせに歌うには難解なんです)、ジャズヴォーカルの文脈でエリントンを歌って面白いなあ。と、思った事はあまりないのですが、太田さんは、ジャズ畑の人でもない事がよかったのだと思いますが、自由に伸びやかに歌っているのが、とてもエリントン的であり、渋谷さんの意図するところだったのだな。と思いました。


また、彼のとても繊細なヴァイオリンの演奏が渋谷さんのサウンドととても合っていて、今後も共演して欲しいと思いました。

 

f:id:mclean_chance:20190309195315j:image

渋谷毅オーケストラ


そして、最後は、メンバーがすべてステージから消えて、渋谷さんだけとなり、ソロピアノが始まったのですが、エリントンの名盤『...and His Mother Called Him Bill』の最後に入っている、「Lotus Bolssom」が演奏されていたのは、ホントに嬉しかったです。


前述のエリントンのアルバムは、エリントンの長年の相棒であり、愛人でもあった、ビリー・ストレイホーンを追悼して作られたものなのですが、この「Lotus Blossom」は、スタジオのミュージシャンたちが片付け始めてから、エリントンが突然演奏を始めたような録音でして、最初はすたのザワザワとした音がかなり入っているのですが(やがて静かになっていきます)、エリントンのピアノの中でも屈指の名演なんです。


渋谷さんは、この演奏をほとんどいじらずにそのまんま淡々と演奏してたんですけども、コレがよかったですねえ。


最後に。


このコンサートのパンフレットには、渋谷さんとジャズ評論家の加藤総夫さんの対談がついているのですが、コレが驚くほど素晴らしいのです。


加藤さんは、80-90年代にかけて『ジャズライフ』などに大変優れた批評を執筆されていたんですが、本業である、脳の研究に専念されてしまい、2冊のまとまった論考を刊行されて以降は、批評活動はパッタリと途絶えてしまったんです。


ですので、加藤さんの文章を読むこと自体、ホントに久しぶりですし、そんな彼がこのイベントに関わっていた事に真底驚きました。


それにしても、これほどのクオリティのイベントを主催した渋谷区は大変素晴らしいですね。


充実した2日間でした。

 

f:id:mclean_chance:20190309195233j:image

 

 

 

 

復活2回目は、前回の続きとなります。

イベント復活第2回(通算5回目)の日程が決まりました。

 

今回は、前回の続きでありまして、『The Popular Duke Ellington』のA面の残り2曲から始め、B面すべてを終える予定です。

同じ曲を何度も聴いていても、全く飽きがこない事が改めて実感でき、また、エリントンが何度も同じ曲を録音しているのは、一体何故なのかを考えるキッカケとなってくれれば幸いです。

 

お時間ありましたら、是非ご参加ください。

 

エリントンすごいぜ!vol.5

『The Popular Ellington』からタテに聴く  その2

日時:2019年4月7日(4/29でエリントン生誕120周年となります)

場所:夜学バーbrat

台東区上野 池之端すきやビル3F

(JR御徒町、メトロ湯島など最寄り駅多数)

http://ozjacky.o.oo7.jp/brat/

 

料金:2drink+600

open 13:30 start 14:00-16:30

 

f:id:mclean_chance:20190309173852j:image

 

復活いたしました!

たったの1回で幻になってしまった、「菊地成孔を聴く」が、夜学バーbratにて復活となりました!

 

1回目からやり直しますので、よろしくお願いします。

 

とにかく、ものすごい作品がありますので、4回くらいにわけてやる事になると思います。

 

 

 

McLean Chance presents 

菊地成孔を聴く vol.1 90年代を中心に

 日時 3/30 14:00-16:30 open 13:00

場所 夜学バーbrat

台東区上野 2-4-3 池之端すきやビル3F

http://ozjacky.o.oo7.jp/brat/

料金 2drink+600円

 

f:id:mclean_chance:20190215194907j:image

vol.4の曲目です。

Side-A

 

1. Chinoiserie from Afro-Eurasian Eclipse

2.Afrique 同上

3.Acht O’clock Rock 同上

4.Money Jungle from Money Jungle

5.Pitter Panther Patter from This One’s for Blanton !

6.TheloniousMonk;Litte Rootie Tootie from Thlonious Monk Trio

7.Andrew Hill;Naked Spirit from Hommage

8.Bud Powell;Indiana from Bud Powell Trio

9.Sun Ra & His Arkestra;Intro〜Take The “A” Train from Live At Montreux

10.Carla Bley;Sing Me Softly of The Blues from Dinner Music

 

 

B-side (最後はすべてThe Popular)

 

1.Take The “A” Train

1941.2.15 Hollywood

1952.6.30 Columbia 30th Street Studios, NY

1960.6.28 Radio Recorders Studios, NY

1960.7.7 Columbia 30th Street Studios, NY

1966.5.9 RCA Victor’s Music Center of The World, Hollywood 

 

2.I Got It Bad(and That ain’t Good)

1941.6.26 Hollywood 

1966.5.9 RCA Victor’s Music Center of The World, Hollywood

 

3.Perdido

1942.1.21 Chicago

1952.7.1 Columbia 30th Street Studios, NY

1960.6.2 Radio Recorders Studios, NY

1966.5.11 RCA Victor’s Music Center of The World, Hollywood

 

f:id:mclean_chance:20190203234818j:image

 

イベント無事終了しました!

2018年は結局一度も行うことができませんでしたが、昨年末にトントン拍子で話しが進み、2/3の節分の日に4回目を行うことができました。 

 

内田吐夢宮本武蔵』五部作は、必ず最初の5分間は前回までのあらすじのダイジェストがついていましたので、間が空いていた事もあり、これににならいまして、最初に3回目までのダイジェストを行いました。

 

しかし、コレが予想以上に時間をとってしまい、予定よりも30分もオーバーしてしまいましたが、「一乗寺の決闘」は大変充実した内容となりました。

 

やった事はコレ以上ないくらいにシンプルで、『The Popular Duke Ellington 』の曲順のまま、録音順に聴き比べていこうというものでして、さすがにすべて聴いていくと、時間がとても足りないので、いくつかは割愛しながら聴いていきましたが、コレが予想以上に面白かったですね。

 

脳内シミュレーションの通り、最初の3曲しかできませんでしたが、エリントンがかなり頑張ってモダンジャズ化していた1950年代のある意味極点とも言える、1960年の「Perdido」の演奏は、エリントンとは思えないほどのBPMでホーンセクションが、明らかにパーカーの曲の引用をしたアンサンブルを吹きまくって、いつまでもテーマを吹かないという(ビバップで、最初にアドリブを吹いてテーマをなかなか吹かないという演奏をよくやるのですが、エリントンはそれを譜面化してホーンセクションにやらせているんですね)、なかなか過激な事をやってまして、この後のホーンセクションが終始白人のビックバンドがやったとした思えないようなキンキンのモダンな(しかし、ソロはプレモダン)演奏が繰り広げられるという、恐るべき演奏がやはり、これが一番衝撃/笑撃がありましね。

 

モダンジャズとは適度に距離を置いてきた印象のあるエリントンですが、実際はゆっくりとモダン化していたんですね。

 

エリントンは、マイルスと同じく、とても慎重で保守的な人だったのでした。

 

マイルスは、あたかも劇的に変わったように見せるのがとてもうまかったんですけども、エリントンは文字通りゆっくりと進めていたので、変化している事に気がつかれにくいんですよね。

 

それを定番曲の再録音ででいろいろと試していたという事が、3曲を聴いていくだけでも見えてきました。

 

こういうのは、固めて聴かないと絶対にわからないですね。

 

余談ですが、Take The “A” Trainの1952年の演奏は、後に、美空ひばりがシャープ&フラッツと共演した、1955年のアルバムで、引用されてもいます。

 

次回は、A面のMood Indigo、Black and Tan Fantsyから再開し、B面は新曲のThe Twitchをこの時の録音でアルバムから外されたCaravanに差し替えて、最後のCreole Love Callまで目指していきます。

 

f:id:mclean_chance:20190203234310j:image

 

 

日程のお知らせです。

紙のジャズpresents

エリントンすごいぜ!(akaそうだったのか!エリントン)vol.4

 

『The Popular Duke Ellington』をタテから聴く  その1

 

場所 夜学バーbrat

台東区上野 2-4-3 池之端すきやビル3F

 

最寄り駅はたくさんありますが、メトロ湯島駅、JR御徒町が便利かと思います。

 

http://ozjacky.o.oo7.jp/brat/

 

日時 2/3 14:00-16:30

開場 13:30

料金 2drink+600=1200 yen 

 

f:id:mclean_chance:20190106112130j:image

 

移籍しました。

長年使ってきたはてなブログのサービスが終了するので、こちらに移籍しました。

 

前使ってた内容が入ってますが、そのまんまにしておきます(笑)。

 

はてなダイアリーは、アーカイブとしてお読みください。

 

よろしくお願いします。

 

 

f:id:mclean_chance:20190103131932j:image