mclean-chanceの「Love Cry」

はてなダイアリーで長年書いてきたブログを移籍させました。生暖かく見守りくださいませ。

「モンク」が重要な役割を果たしています!

Tete Montoliu『Piano for Nuria』(SABA)


personnel;

Tete Montoliu(p), 

PeterTrunk(b),

Albert Heath(drms)

 

recorded at SABA Tonstudio, Villingen on February 2, 1968

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モンクととともに写真に映るテテ。


正直なところを申し上げますと、テテのものすごいテクニックには圧倒されるんですけども、ちょっと弾きすぎるところがどうにも馴染めないんですね。


なので、彼の聴くのは、もっぱらサイドメンとしてです。


ローランド・カークデクスター・ゴードン、ドゥシュコ・ゴイコヴィチなどなど、彼がサイドに入った名盤は、大変愛聴しております。

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テテがサイドメンとして参加した名盤です!

 


しかし、私の食わず嫌いを克服するアルバムに最近出合いまして、それが本作なのですね。


都内某所のジャズ喫茶で(店長がとにかくジョニー・グリフィンが好きで、来店すると、必ずかかってますね)、席についてからの何枚目かのアルバムがコレでした。


まあ、MPS/SABAからでている有名盤ですが、リーダーになると、超絶技巧を駆使して弾きすぎてしまうテテのアルバムはどうにも苦手意識が先行してしまい、聴いてなかったんですね。

 


店長がジャケットをサッとテテのアルバムに変えた時、「うわー、テテのリーダー作かあ。今日はハズレかなあ」と内心思ったのですが、アレ、そんな事はない。

 


実に端正で、しかし、アメリカのハードバップピアノとは確実に違うタッチを持ったテテのピアノはその有り余るテクニックを70%ほどに抑えて、あくまでも音楽に貢献するする演奏に徹していました。

 


この時はB面のみを聴きましたが、後日、CDを購入して改めて全部聴いてみて、なぜ違うのかがわかります。


それはモンクでした。

 

圧倒的なテクニシャンと、訥々としたピアノを弾くモンクはおよそ結びつきませんが、どうも、テテはモンクをいたく尊敬しているのでしょう、A面1曲目の自作曲「Blues for Nuria」(テテと同じ、カタロニア地方出身のジャズシンガー、ヌリア・フェリウにちなんだ曲ですね)が、モロにモンクを意識した曲であり、B面のテテのソロピアノとなる、「I Surrender, Dear」は、モンクの名盤『Blillant Corners』で、モンクがこのアルバムで唯一ソロで演奏している曲です(テテはこのアルバムを愛聴していたのでしょう)。

 

このモンクという縛りは、テテの演奏にむしろプラスとなり、いつもより、「音の吟味」がいき渡っており、非常に優れた演奏になっていると思います。

 

オスカー・ピーターソンフランク・シナトラのレパートリーばかりを演奏するという、『A Jazz Portrait of Frank Sinatra』における、ピーターソンの、敢えてのテクニックを制限した中での見事なピアノにも似たものと考えていただければと思います。

 

MPS/SABAは、ピアノの録音に定評のあるレーベルであるのも、テテのピアノを聴くうえで大変好ましいです。

 

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